人の温かさ

CD棚を漁りながら、ふとディーリアスの音楽を思い出す。彼は梅毒が原因で60歳を前に全身麻痺に見舞われ、ついには失明までしてしまったという。そういう状況の中でも弟子に助けられ作曲を続けたイギリスを代表する作曲家だ。

最近、身内に障害(身体障害、知的障害など様々)を持った人との出逢いが多い。そういう人が単純に増えているということではなさそうなので、多分僕自身がそういう状況やそういう人たちから何かを学ばなければならない宿命なんだろうと実感する(ちなみに、僕の実母も障害をもっており、父が日々献身的に介護している姿を見るととても感動的で、その父が近いうちに「介護日記」をブログ化するというので実は楽しみに待っている。面と向かってそういう話をするのも照れ臭いので直接言ってないが・・・)。

今日、久しぶりに「27歳の決意・92歳の情熱65」(日野原重明+乙武洋匡)を取り出してぱらぱらと斜め読みしたところ、戦後2番目のミリオンセラーといわれる「五体不満足」はちょうど10年前のあの時期に出版されたから売れに売れたのであり、もう少し早かったり、逆にもう少し遅かったりしたらばあんな風にはなってなかっただろうと乙武氏が回想しているのをみて、なるほどタイミングというのは人生の中で非常に重要な要素なんだと今更ながら考えさせられた。人が何かを始めるとき、「目に見えない何か」に後押しされてコトが進む。ただし、それは「正しい方向」を向いているときのみ。「正しい方向」とは自分自身が「あるべき姿」であるということ。おそらくそれを「信念」というのだろう。人生に早いも遅いもないはずだ。大事なのは「信念」。

キャリア・カウンセラーの認定を正式に受け、先日から紹介エージェントと契約を交わし転職支援(厳密には人生支援)を始めようと決意した途端、出逢う人出逢う人が「転職」希望者だったりする。何だか僕の資格認定を待っていたかの如くの展開である。とにかく一人でも多くの人に幸せになっていただきたいという願いから仕事をしていこうと決心する。

ディーリアス:春初めてのかっこうを聞いて
サー・トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

ディーリアスの管弦楽曲の中でおそらく最も有名なものだろう。春の訪れに寄せる作曲者のフィーリングを反映したとても美しい交響詩。放蕩生活の果て四肢の完全麻痺。そしてたくさんの人からの献身的な助けを受けながら全うする人生。単なる「哀しみ」だけではない、人間の「温かさ」まで秘めた名曲群を残したディーリアスの世界に今日は浸ろう。

そういえば10数年前、ロンドンを旅した時、ビートルズのアビーロード・スタジオを見に行こうとあちこち地下鉄に乗って探索していたとき偶然ビーチャム卿の生家(ひょっとしたら生家ではなく住んでいた家かもしれないが)を発見したことを思い出した。

⇒旧ブログへ


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む