クメント ルートヴィヒ カルロス・クライバー指揮ウィーン響 マーラー 大地の歌(1967.6.7Live)

いまだ無名だった頃のカルロス・クライバーはどんな作品も、求められれば振っていたようだ。1967年のウィーン芸術週間におけるマーラーの「大地の歌」もその一つ(後年のレパートリーからは完全消去されているのでマーラーには向いていないと判断したのだろうか)。

演奏をするにあたり、巨匠オットー・クレンペラーのアドバイスを仰ぎ、薦められたヴァルデマール・クメントとクリスタ・ルートヴィヒを独唱陣に迎えたらしい。なぜカルロスがこのステージに立ち、しかも「大地の歌」を採り上げたのか、むしろその背景にあるエピソードが面白い。

演奏はおそらく賛否両論か? 個人的には二人の独唱陣とともに相変わらずの速めのテンポで颯爽と音楽をドライヴするクライバーの方法に期待する。

数年前に正規録音がリリースされたが、そういえば30数年前、当時六本木にあったWAVEで(おそらく)海賊盤を見かけ、そのときは手を出さなかった(海賊盤というものにそもそも抵抗のある時期だったのである)。

・マーラー:大地の歌
ヴァルデマール・クメント(テノール)
クリスタ・ルートヴィヒ(アルト)
カルロス・クライバー指揮ウィーン交響楽団(1967.6.7Live)

ウィーンはコンツェルトハウスでのライヴ録音。
よくよく聴くと、何だかカルロスがマーラーを封印した理由がわからないでもない。
「大地の歌」が妙に軽く、そして明るく聴こえる(録音のせいもあろうが)。クメントの歌もルートヴィヒの歌も実に素晴らしいのだが、浮いて聴こえるのが悲しい。慣れないのか、共感がないのか、いつものカルロス節がどこかよそよそしく、音楽としてこなれていない印象を持つのは僕だけだろうか。(歴史的ドキュメントには違いないが)

ただし、独唱者二人の気合いは並大抵でない。
終楽章「告別」のルートヴィヒの妙なる歌唱を心して聴きたまえ。

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