ミシュラン

ミシュラン東京版が本日発売された。いわゆるグルメじゃない僕にとってはどうでもいいニュースなのだが、3つ星のお店には電話がひっきりなしに鳴り、普段の仕事が全く手につかない有様でお店によっては向こう数ヶ月予約で埋まってしまうほどらしい。

うーん、能天気というか何というか、日本人は幸せなのか不幸なのかよくわからない。結局、ブームや人気というものは「食」の世界に限らず、ある意味マスコミが創り上げた虚像であり、何だか「情報」に踊らされているようで滑稽に思えてしまう。
時折僕も信頼できる友人の紹介で「美味しい」と聞いたレストランには出掛ける。美味しいかもしれないし、それほどでもないかもしれない。人の味覚や好みは千差万別だから、友人が美味しいといったから自分にも合うかといったらそればかりはわからない。しかし、経験する前から否定するのも可笑しいから一度は出向いた方がいいと思うので、とにかく出掛けてみる。これまでの経験から言うと相手が食通の友人で、自分の舌の好みに近い人なら余程のことがない限りまぁ間違いはない。

それにしても、右に倣えというくらいに、特に日本人は「その他大勢」の意見に極めて弱い。というか、左右される。何だか情けなくなるほどだ。まぁ、ミシュランの場合は格式もあり、歴史もある「グルメ・ガイド」だから、信憑性は確かなんだろうけど・・・。

とはいえ、ガイドやインターネットほど頼りになるようであまり当てにならない情報というのもない。間違いなく不味くはないはずだ。確かに「旨い」のだろう。だけど、口に合うのかどうかは食べるまでは決してわからない。
結局、「情報」というのは何だかんだいってやっぱり「口コミ」が一番正確だと思う。

イタリアのオペラ作曲家ジョアッキーノ・ロッシーニは無類の食通であったという。おそらく「ミシュラン・ガイド」に掲載されるような名門レストランに通いつめたのだろう。あまりの美食と大食漢のお陰で身体を壊し、それが原因で壮年期以降は作曲の筆を折り、そのまま亡くなった。

ウェーバー:舞踏への勧誘作品65(ベルリオーズ編曲)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ロッシーニと同時期にドイツで活躍した作曲家カルロ・マリア・フォン・ウェーバー。
この「舞踏への勧誘」は、元々はピアノ曲。この管弦楽版はベルリオーズが自身が崇拝する作曲者への冒涜にならないかとヤキモキしながら編曲の筆を進めたということだ。

演奏はワーグナーやブルックナーの大曲を好んで演奏したクナッパーツブッシュによるもの。遅めのテンポで一歩一歩じっくりと踏みしめるように音楽は進んでゆく。明るく華麗で瀟洒な音楽が指揮者の解釈によってはこんなにも巨大な「交響詩」になってしまうものなのか・・・。

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