Across the Universe

ビジネスの上で駆け引きがあることはわかっているつもり。いや、ひょっとするとプライベートの人間関係にも駆け引きばかりだという人は多いかもしれない。信頼関係の有無ももちろんだが、損得で物事を考える癖がついているとついつい相手の出方をみて自身の動きを決定するという形になる。僕はそういう「駆け引き」が極めて苦手。というより、よくわからない。お陰さまで騙されて痛い目にあったということは人生で一度もないが、「してあげたければしてあげればいいし、そうでなければそうしなければいい」だけの話だと常々思っている。「思いやりを持ちなさい」と子どもの頃からよく聞いていた。ただし、「想い」がないわけではない。そう言う人に対しては、そう思えない人にまでそんなことはできない、というより思いもつかないといつもどこかで反発心を覚えていた。時には、「それはひどい」などと諭されるものだから、自分が非人間的な人間なのだろうかと落ち込んだこともあったが、ある時から良い意味で開き直ることにした。

自分のことは自分が一番よく知っているから。自分が優しい人間であることはわかっているから。一方で、興味のないものや人には注力しないものだから、それが他人から見ると冷たい人間のように映るのだろうということもよくわかる。

これからの時代、いずれにせよ「駆け引き」は通用しなくなるように思う。目の前にいる人に対して「想い」があるなら動くだろうし、そうでないなら動かないというだけ。どちらが正しくどちらが間違っているというものでもない。

たった1挺のヴァイオリンが奏でる音楽を聴いていて、大も小もなく、すべては一つでつながり、無限なんだという感覚をあらためてもった。

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番ロ短調BWV1002
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
パガニーニ:「わが心はうつろになりて」の主題による序奏と変奏曲
ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)

ムローヴァ若き日の記録。バッハの名曲が、200年の時を超えてバルトークの音楽と交差する。時間が一瞬にして消え去り、まるでバッハがバルトークで、バルトークがバッハであるかのような錯覚に陥る。このプログラミングの妙。
20世紀の天才作曲家のあまり知られていない傑作(ほとんど舞台にかけられないのじゃないか・・・、それとも僕が知らないだけ??)には、バッハへの畏敬の念と祖国ハンガリーへの想いが充溢しており、これぞ”Across the Universe”の様相を示す。この音盤を手にしたのは10年と少し前だが、当時の僕はそんな感覚は掴んでいなかった。世界が生まれ変わったのか、はたまた自分に変化があるのか、冒頭から最後の一音までそのすべてがビンビン心に響く。

4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>目の前にいる人に対して「想い」があるなら動くだろうし、そうでないなら動かないというだけ。
正直言って、岡本さんのことをよく知らない第三者が読むと、この時期になんで? へぇって感じでしょうね。

昨夜、「プロテスト・ソング トピカル・ソングの傑作集」という魅力的なサイトを閲覧していて、二つの歌が目に飛び込んできました。

Summertime Blues/サマータイム・ブルース

オリジナル歌詞: E. Cochran & J. Capehart
替え歌詩: 忌野清志郎

暑い夏がそこまで来てる
みんなが海へくり出していく
人気のない所で泳いだら
原子力発電所が建っていた
さっぱりわかんねえ、何のため?
狭い日本のサマータイム・ブルース

熱い炎が先っちょまで出てる
東海地震もそこまで来てる
だけどもまだまだ増えていく
原子力発電所が建っていく
さっぱりわかんねえ、誰のため?
狭い日本のサマータイム・ブルース

寒い冬がそこまで来てる
あんたもこのごろ抜け毛が多い (悪かったな、何だよ)
それでもテレビは言っている
「日本の原発は安全です」
さっぱりわかんねえ、根拠がねえ
これが最後のサマータイム・ブルース

(原発という言い方も改めましょう。
何でも縮めるのは日本人の悪い癖です
正確に原子力発電所と呼ぼうではありませんか。
心配は要りません)

あくせく稼いで税金取られ
たまのバカンス田舎へ行けば
37個も建っている
原子力発電所がまだ増える
知らねえ内に漏れていた
あきれたもんだなサマータイム・ブルース

電力は余ってる、
要らねえ、もう要らねえ

電力は余ってる、
要らねえ、欲しくない

原子力は要らねえ、
危ねえ、欲しくない

要らねえ、要らねえ、欲しくない
要らねえ、要らねえ、

電力は余っているよ
要らねえ、危ねえ、

※アルバム 「カバーズ」(1988.8.15 オリジナルLP発売予定→中止)収録
http://protestsongs.michikusa.jp/japanese/summertime.htm

Undevided / 引き裂かれないで
by Bon Jovi
(訳詩: ポール・キム)

がれきの下に消えたのが
僕の兄弟
衝突の中で消えたのが
私の姉妹

母親も子供たちも
僕らひとりひとりも

百万の神への祈りが
百万の涙が海を作る


愛のため
真実のため
自分のため、
君のため

魂を見つけた
誰にも滅ぼせない
勇気を見つけた
煙とほこりの中から

信念を見つけた
無言の歌の中から
僕らみんなの心の奥底で
響き渡っている
イェイェイェ

※くり返し


昔バラバラだった僕らが
今やひとつになった
分裂はなくなった

いくつの手が?
いくつの心が?
いくつの夢が?
あの時壊れた

もう十分だ、
いよいよ復活のときが来た

※ △ ※ くり返し

http://protestsongs.michikusa.jp/undivided.htm

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
ご指摘ありがとうございます。
今回の記事は、震災とは無関係のあくまで個人的な体験に基づく意見なのですが、読む人が読むと誤解を与えるような内容になっているかもしれませんね。

ところで、ご紹介の2曲いいですね。清志郎の替え歌は本当に見事です。以前どこかのテレビで放映されていたのを見た記憶がありますが、その時以上に身に染みます。

返信する
ポールキム

プロテストソング・トピカルソングの傑作集の管理人です。

引用とコメントありがとうございます。
サマータイムブルースは大地震以来、信じられないほど数多くのアクセスを得ております。
今この歌がテレビやラジオでも流れず、誰かがカバーしてどんどん歌わないのが不思議なくらいです。
ボンジョビの歌の方も被災地の方々の気持ちに共通するものがありそうですね。
これからもよろしくお願いします。

返信する
岡本 浩和

>ポールキム様
こんばんは。

>今この歌がテレビやラジオでも流れず、誰かがカバーしてどんどん歌わないのが不思議なくらいです。

ほんとに不思議ですね。雅之さんに情報をいただいて知りましたが、2曲とも本当に今の情況にぴったりの歌詞だと思いました。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む