死は生である

ムソルグスキー作曲の組曲「展覧会の絵」。『プロムナード』はコマーシャルなどで頻繁に使用される楽曲であるゆえ特別クラシック音楽ファンでなくとも広く知られている音楽であると思う。もともとはピアノのために書かれており、ポゴレリッチ盤がおすすめ。
また、後世の著名な作曲家が挙って管弦楽に編曲しており、中でもラヴェルの編曲版はポピュラーだ。流石にオーケストレーションの魔術師といわれるだけあり、この管弦楽版を聴くとその色彩感たるやこちらが原曲なのではないかと錯覚を起こさせるほど上手すぎる編曲者の天才的腕前を堪能できる。

しかし、今日は敢えてもう一つの傑作編曲盤をとりあげる。
キング・クリムゾン、イエスと並ぶプログレッシブ・ロックの三大バンドの一つ、エマーソン・レイク&パーマーによるロック版組曲「展覧会の絵」。70年代初頭に一世を風靡した傑作アルバムである。

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
エマーソン、レイク&パーマー

キース・エマーソンのキーボード・ソロの『プロムナード』に始まり、カール・パーマーの見事なドラミングに引き継がれる『小人』。3人の名手たちが繰り広げる楽音はこれもまた原曲なのではなかろうかと錯覚を起こす名アレンジになっている。インプロヴィゼーション的な楽曲を挟みながら進行していくのだが、何と言っても圧巻はラスト・ナンバー『キエフの大門』。
グレッグ・レイクによる歌詞が素晴らしい!

There’s no end to my life,
No beginning to my death.
Death is life.

私の生に終わりはなく、
私の死に始まりもない。
死は生である。

グスタフ・マーラーの「大地の歌」に通じる深遠な歌詞を持った終曲は一聴の価値あり。この録音だけでEL&Pは不滅である。

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