不倫愛

「トリスタンとイゾルデ」。性愛を表現したワーグナー畢生の名作である。
実はこの楽劇の作曲背景には彼の狂おしいまでの「不倫愛」が潜んでいるということだ。当時、ワーグナーはパトロンであった豪商オットー・ヴェーデンドンクの妻マティルデに熱を上げていた(彼女に対する想いを託し「ヴェーゼンドンクの5つの歌」という楽曲が作曲されたほどだ)。この2人の関係を疑い、妻のミンナはマティルデを捻じ込み、挙句ワーグナーはヴェーゼンドンク家の出入りを禁じられた。その直後に作曲された名曲。

とにかく前奏曲の頭から、終幕の「イゾルデの愛の死」まで尽きることなく「エロス」を感じさせる音楽の連続。堪りません・・・。

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団
ルートヴィヒ・ズートハウス、キルステン・フラグスタート、ヨーゼフ・グラインドル、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウほか

世に「トリスタン」の音盤は数多リリースされているが、中でも最高傑作がフルトヴェングラー盤。1950年代初頭のモノーラル録音だが、そんなことは関係ない。フルトヴェングラーの息の長いフレージングとフラグスタートのイゾルデが絶品なのである。ともかく聴いてみるべし。

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