チェロという楽器の音色は人間の声の周波数に最も近いらしい。確かにチェロを聴いていると心地よいその響きがふと眠りを誘い、何やら瞑想状態にもっていかれるということがよくある。
そのチェロのための稀代の名曲が20世紀になりあるチェリストにより復活蘇演された。作曲家の存命当時は顧みられることなく、200年近くの時を経、パブロ・カザルスという13歳の少年によって19世紀末に発見されたヨハン・セバスティアン・バッハの大傑作「無伴奏チェロ組曲」がそれである。全6曲、宇宙を髣髴とさせるチェロ一艇のための楽曲である。
第1番の前奏曲は夙に有名。まずはこの曲を何度も繰り返し聴いてみよう。
音盤は自分が気に入ったチェリストのものをとりあげるのが良い。
ちなみに僕のお薦めは、
①パブロ・カザルスの演奏する古い音源盤
②ミッシャ・マイスキーの旧録音盤
である。
先日亡くなったロストロボーヴィチやマイスキーの新盤はあまり好きではない。いずれも前述の前奏曲が猛スピードで弾かれているのが特長だ。僕の感覚にはあわない。ただし、いずれも評価の高い名盤であるゆえ、楽曲が気に入ったら聴き比べをし、最終的には愛聴盤を決定するのが良いだろう。
今日はカザルス盤を聴いている。
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全集
パブロ・カザルス(チェロ)
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