奇跡のクライバー

30年近く真面目にクラシック音楽を追求してきたが、ドヴォルザークに真剣に取り組もうと思ったことは未だかつてなかった。確かに有名といわれている曲はほとんど聴いているし知ってもいる。ただし「真面目」に聴いていないのである。よって、多少馬鹿にしていた感は否めない。
先日、本講座でドヴォルザークの「新世界」交響曲をとりあげた。「宇宿允人の世界」というコンサートを聴くため事前レクチャーを講座として開いたのである。必要に迫られ、久しぶりに「新世界」を数種類、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲、第8交響曲、スラブ舞曲などを聴き込んだ。

集中して聴いてみると、なるほど世間が認める作曲家だけある。構成力抜群、しかもメロディーも美しく秀逸。
今日などは頭の中で「新世界」のメロディーが鳴り続けているのだ。

ドヴォルザークのピアノ協奏曲を聴く。彼の作品の中では比較的知られていない。が、その隠れた名曲をリヒテルがカルロス・クライバーの伴奏で演奏しているのである。両巨匠とも既に鬼籍に入り、もはやあり得ない組み合わせ。

ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲ト短調 作品33
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
カルロス・クライバー指揮バイエルン国立管弦楽団

1970年代はカルロスも真面目に音楽活動をしていたのである。僕は幸運なことにクライバーの実演を一度聴いている。1986年、昭和女子大学人見記念講堂におけるまさにバイエルン国立管弦楽団との来日公演においてである。

ベートーヴェン:交響曲第4番&第7番、アンコールにシュトラウスの雷鳴と電光、そして十八番の「こうもり」序曲。いまだに最高の思い出です。

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