清澄

リヒャルト・シュトラウス作曲
メタモルフォーゼン
オーボエ協奏曲
4つの最後の歌

を聴く。

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

いずれの曲も作曲者最晩年、1945年〜48年の間に書かれたものである。自身に迫る「死」と死するドイツ帝国に向けた哀歌ともいうべき絶品。青白い寂寞感が全篇を貫き、現実とは思えぬ「澄み切った世界」が表出する屈指の名曲群。
「メタモルフォーゼン」は、晩年のゲーテの詩からインスパイアされて書かれたものらしい。

「誰も自分自身のことを知らないし、自分そのものと切り離せない。
だが彼は毎日毎日結局は外に向かって、自分が何であり何であったのか、
何ができて何がほしいのかを、はっきりと試しているのだ。
だがしかし、世の中でどのように歩んでいるか、実際には誰にもわからない。
そしてまた、現在に至るまでを、誰も理解しようとしない。
まさにその日が手を差し伸べてくるのを理性を持って信じなさい。
今に至るまで全ては過ぎ去り、最後には、また良くなってくるだろう。」

ところで、以前カラヤンの演奏に関して否定的な見解を述べた。芸術としては二流であっても娯楽としては一流。語弊のある言い方だが、リヒャルト・シュトラウスの音楽は一流の映画音楽である。ゆえに、シュトラウスに関する限り、カラヤンのCDを手に入れればまず間違いない。澄み切った世界が眼前に現出する。耳にも心地よい。

※先日、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、キルステン・フラグスタート(ソプラノ)による「4つの最後の歌」の世界初演時(1950年5月)の正規録音が発売された。さすがに音は悪い。しかし、前年に亡くなった作曲者に捧げる「哀悼の意」とその「音のうねり」は艶かしい。

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