NHK音楽祭2011初日

やはりNHKホールというのは相当な曲者である。クラシック音楽には正直向かない。せっかくの音楽が四方八方に散ってしまい、興ざめな瞬間が多々あり。おそらくごく僅かな特定の席に限っては最高の音楽が堪能できるのだろうが、少なくとも僕の位置した2階LA席最前列でもそのように感じられたのだから非常に手強い・・・。

とはいえ、パッパーノ指揮するローマ聖チェチーリア国立管の織りなす音は明るく前向きで、いかにもイタリアの情熱的な気に溢れており、素敵だった。

今宵、NHK音楽祭2011初日を訪れる。

2011年10月3日(月)19:00開演
アントニオ・パッパーノ指揮ローマ聖チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
・ヴェルディ:歌劇「アイーダ」シンフォニア
・リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
アンコール~
・サン=サーンス(ゴドフスキー編):組曲「動物の謝肉祭」から『白鳥』
・チャイコフスキー:「四季」作品37bから第10曲:10月「秋の歌」
休憩
・チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
アンコール~
・プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」から間奏曲
・ポンキエッリ:歌劇「ジョコンダ」から『時の踊り』

このオーケストラは当然ながらお国ものが白眉。アンコールのプッチーニやポンキエッリの演奏などは間違いなく十八番で、これほど自然体で肩の力が抜けた演奏はなかなかないだろう。プログラムのリストもチャイコフスキーも名演奏だったが、独露の暗鬱とした作品には厳密には似合わない。ただし、「悲愴」交響曲における両翼配置、そしてバスが左に位置するという点は非常に面白く聴かせていただけた(ただし、第1楽章展開部直前のファゴットのppppppは例によって一般の定石どおりバスクラリネットでの代用)。
ちなみに、ベレゾフスキーのピアノ。時折ミスタッチは見受けられたものの、アンコールの「白鳥」といい「四季」といい、情感たっぷりの美しい音楽。

NHKホールのような巨大なホールでの演奏会の難点は、家路についた後、奏でられた音楽の詳細がほとんどと言っていいほど霞むところ。残念ながら、心に残らない、響かないのである。

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