グレゴリオ聖歌を聴きながら

一口にクラシック音楽といっても、僕らが一般的に認知している音楽はここ300年くらいのもの。特にJ.S.バッハなどバロックといわれる時代からドビュッシーあたりまでがいわゆる「西洋クラシック音楽」といわれる範疇に入るものと解釈して間違いない(それより以前の音楽を古楽と呼び、20世紀以降の、特に戦後の音楽を現代音楽とカテゴライズするのも結局後世の研究家だかが便宜上名付けたものに過ぎないように思う)。

人類何千年、あるいは何億年という歴史の中で、僕らが毎日のように聴いて感動している音楽というものがほんの一瞬に生み出されたものだと考えると、人間の思考というものが自然や大宇宙を前にした時には本当にちっちゃなとるに足らないものなんだということをあらためて実感する。それは決してネガティブな意味ではない。そういうことを理解した上で、僕らが全く認知していないものが、音楽というジャンルの中でも数多存在するということを忘れちゃいけないんだとふと考えたということである。

世の中で認められないからと言って腐るものではない。知られていないものの中に、実は途轍もないパワーを秘めたものがあるのかもしれないし・・・。クラシック音楽の世界だってそうだろう。たまたまJ.S.バッハやモーツァルトは楽譜を残した。ゆえに未来の我々が受容できるというだけ。紙には残さなかったが、信じられないような天才がいたかもしれないし・・・。そんなことを空想しながら音楽をあらたな別の視点で楽しむのも良し。いつどんな風に世の中が移っていくのか全く想像もできない今の時代こそ、狭い了見でものを見、判断するのでなく、見えない、あるいは知らないことすらまでをもイメージし、幅を広げることって大切。

いわゆる「西洋クラシック音楽」の源泉は、グレゴリオ聖歌だといわれている。では、その前に音楽は存在しなかったのか?そんなことはないはずだ。あったのだろうが確認しようがないというだけ。さて、どんな音楽だったのだろう?文明が生まれては消え、消えては別の文明が生まれるということを繰り返す地球上では、何千年も前の音楽にひょっとすると今のジャズやロック音楽のようなもの、あるいはリゲティやケージといった現代音楽家の作風のような音楽が存在したかもしれない・・・。久しぶりにグレゴリオ聖歌集を繰り返し聴き考えた。いつの時代の、どんな形態であろうと、音楽のもつ力は素晴らしい。

グレゴリオ聖歌集
聖モーリス及び聖モール修道院ベネディクト派修道士聖歌隊

50年以上前の録音。にもかかわらず生々しい。人間の肉声というのはこうも激しく、こうも安らかなのか・・・。

ところで、今回の震災に向けてのチャリティということで、桑田佳祐を中心にしてアミューズのアーティストたちが立ちあがり(名付けてチーム・アミューズ!!)、スペシャル・ソングを発表するのだと。もちろんまだ内容はわからないが、きっと素晴らしいものになるはず。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。

今回の震災、いつもご紹介しております、
多大なクラシックの知識を学ばせていただいている、おやぢ様
http://jurassic.exblog.jp/16163305/
など、被災された方々のブログを読むと、
東海地震が強く懸念されている名古屋に住む私なども、
とても人ごととは思えません。

この大震災は、自己の暮らしを改める決断の、よい機会となりそうです。

まず、思いっきりCDやDVDを売って所有を激減させ、断捨離
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E6%8D%A8%E3%81%A6%E3%82%8C%E3%81%B0%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%8C%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%82%8B%E2%80%95%E9%A2%A8%E6%B0%B4%E6%95%B4%E7%90%86%E8%A1%93%E5%85%A5%E9%96%80-%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E9%A4%A8%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3/dp/4094180311/ref=sr_1_4?s=books&ie=UTF8&qid=1302306853&sr=1-4
して、売却金を、被災地の方々に全額寄付しようと決めました。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
一昨日の余震は東京でも相当揺れたようです。
「よう」というのは、ちょうどその時間帯、僕は地下鉄に乗っており、ちょうど一つ手前の駅についた瞬間でした。身体で明らかに感じられるほどの揺れでしたから大きいなとは思っておりました。
自宅に帰って妻に確認したところ、ちょうどお風呂から出たばかりの時で、吃驚して慌てて着替えをしたほど結構なものだったということでした。

現地では大変な様子ですよね。本当に落ち着いて眠ることすらできないような状態でしょうから、被災者の方々の苦労や心労は我々の想像以上だと思います。「おやぢ様」の記事を読んでみるとリアルに伝わりますね。いろいろと考えさせられるものがあります。

ところで、断捨離の決断、おめでとうございます。
こういう機会でもない限りなかなか手をつけることができないとは思いますが、素晴らしい決心だと思います。
さすがは雅之さんです。雅之さんの貴重な音盤類ですからこれは相当な金額になるのでしょうね・・・w

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