セックスレス

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35を聴く。

アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスの所謂3大協奏曲に加え4大協奏曲ともいわれる傑作である。

チャイコフスキーがこの曲を書いたのは1878年、38歳の時。永遠の恋人でありパトロンであったフォン・メック夫人から毎年のように年金を送られるようになったのが1876年からといわれているのでそれから間もない時期のことである。

フォン・メック夫人は以後1890年まで財政援助を続け、手紙のやり取りも頻繁になされた。
この二人の関係は非常に面白い。片や貧しい名も知れぬ音楽家で内気かつ臆病な性格であった作曲家、片や世界的に指折りの富豪。精神的に固い絆で結ばれていた二人だが、生涯一度もお互いに顔を合わすことはなかった。それが、あえて当人同士が決めたルールであったのだ。
なぜか?

そもそもチャイコフスキーはホモ説もあったほど女性に対して極端に自信がなく、いわゆる「女性不信」であったらしい。若い頃結婚もしているがほとんどセックスレスで早々と破局を迎えたということである。というわけで、アプローチをかけてくる女性に対してはついつい腰が引けてしまうという理由。
そして、女性側にもまた「自分は年もとっていてさほど美しくもなく、会えば失望させるという意識が強く、会いたくない」−つまり、女性としての自信がないから無理だ、という別の理由があった。

うーん、うまくできているというか何というか・・・。ぴたっとパズルがはまってしまったことには違いない。この2人の関係が存続したがゆえに名作、傑作が生まれたのだと考えると「プラトニック・ラブ」もまんざらではないのかと考えさせられる。

人間の関係というのは様々な形があり、当人同士が幸せならそれで良いのである。男女の関係でセックスは重要な要素だと思うのだが、それが全てではないということでか。。。むしろ一線を越えてはいけない場合もあるんだろう。(越えたばっかりに・・・・、という関係もあるかもしれない)

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