
今もって力強いフレディの歌唱が聴ける傑作ファースト・アルバム。
初期クイーンのシンプルでソリッドな構成に、そして4人のメンバーのそれぞれの役割が一つになる様子に、セカンド・アルバムと併せ、初めから彼らが完成の境地にあったことを思う。
荒削りの風趣は、そこにあえて企図があったのか、演奏そのものは完璧。
70年代初頭の空気感さえ味方にし、半世紀以上も保持する生命力は永遠不朽と言えまいか。
芸術作品はイメージである。これらのイメージはさまざまの内的感情の世界を把握することに基づいている(原註スザンヌ・K・ランガー『感情の形式』1953年参照)。この意味に於けるさまざまの感情とは情緒、直観、判断や価値づけを含むものである。これらの感情は、従って、一般に科学的探究から除外されているように思われがちである・・・時間的にも空間的にもわれわれの外側に拡がった自然の事物を観察する際に用いられる言語から、時間や空間(少くともある種の心的状態における)が、それとはまったく異るふうに知覚されるさまざまの内的感情の世界を論じたり記述したりするために用いられる言語へと移行するのは容易なことではない。そのような企てがうまくいった場合でさえも、記述はつねに紙一重の隔たりがある。芸術作品にほかならぬイメージは、内的感情の世界を客観的に直接的に表現する唯一の手段なのだ。もしも芸術が言語であるとすれば、それはこの内的感情の世界のみに関わる言語なのである。
(マイケル・ティペット「音楽の状態に向って」—『天使たちの音楽』所収、1980年)
(富士川義之「隠喩としての音楽—ペイターの風景」)
~辻邦生編「絵と音の対話」(音楽之友社)P180
デイヴィス指揮BBC響のティペット「我らが時代の子ども」(1975.3録音)を聴いて思ふ
クイーンの才能はフレディの才能であったが、僕個人としてはその詩よりもその音楽にシンパシーを覚える。世界の根源とつながる永遠の芸術作品は、後世をも感動させる。
・Queen I (Deluxe Edition 1973/2024Remaster)
Personnel
Freddie Mercury (vocals, piano)
Brian May (guitar, vocals, piano)
John Deacon (bass guitar)
Roger Taylor (drums, percussion, vocals)
2024年のリマスター盤は、バンドが長年望んでいた形である『Queen I』へと改題されている。さらには、オリジナルから外されていた楽曲”Mad The Swine”が、本来意図されていた曲順に復元・収録されているのが特長だ。
おそらく収録時間の制限の関係だったのだろうが、この楽曲が復元されたことで、アルバムの締りが一層強まっている。
冒頭の”Keep Yourself Alive”は、クイーンの象徴たるイントロに止めを刺す。
また、完全無欠のコーラスに、フレディのヴォーカルが、ブライアンのギターが溶け込む”Doing All Right”に涙する。
そして、個人的に感化されるのは、“Jesus”から”Seven Seas of Rhye”の流れ。
何という美しさ!
ソロアスター教徒であったフレディの神の子イエスへの信仰。宗教の枠を超え、誰しもが宇宙の根源たる母、あるいは救世主を待ち望んでいるのは確かだ。
(僕たちはそのことを忘れてしまっているだけだろう)
世界は大きく変わるのだと思う。
フレディの80回目の誕生日に。

