大事なのは勇気である

明日から2日間ワークショップZEROを開催する。
今回も様々な世代、状況の方々にご参加いただけるので、さてどういう人間模様が繰り出されるのか予想もつかず、今から楽しみでならない。人が抱えている問題、例えば人間関係のトラブルの多くは、結局見方捉え方の相違に起因している。真実はひとつなのだが、その事実をどのように解釈するか千差万別、十人十色なのである。自分の感じ方と100%同じ感じ方をする他人なんて存在しない。ゆえに互いが腹を割って自分の思考を曝け出し、受け容れ合うしか方法はない。あとは「自信」の問題。過去にどんな経験をしていようと、それがマイナスであれプラスであれ、それらが「今」の自分を作り上げているのだから開き直ってすべてを受け容れてみることだ。時を経て、それなりに分別がついてきちんと振り返ってみる(そう、この「きちんと」というのが皆できていないのである)とあなた自身の人生は意外に満更でないかもしれない。

今夜も寒い。こんな日には酷寒の音楽であるシベリウスでも聴いて、逆療法的に過ごしてみようと思ったが、やっぱりやめた。代わりにブラームス。それも、無伴奏の合唱作品を集めた1枚。

ブラームス:歌曲とロマンス~世俗合唱曲集
・ソプラノ独唱付4部の混声合唱のための歌曲とロマンス作品93a
・6部の合唱のための3つの歌作品42
・混声合唱のための7つの歌曲作品62
・混声合唱のための5つの歌作品104
・2つのホルンとハープの伴奏付女声合唱のための4つの歌作品17
アンナ・コロンディ(ソプラノ)
ガブリエラ・モシルシュ(ハープ)
ヤコブ・カイディング、ヨハン・ヴィディホーファー(ホルン)
エルヴィン・オルトナー指揮アルノルト・シェーンベルク合唱団

一般的には極めてマイナーな作品集だが、ブラームスの場合生涯をかけてこの分野の作品を創作している点から考えると、この作曲家が命を懸けた重要作が多く含まれている可能性が高い。当然そのヒントはテキストにあるだろう。それらは民謡からリュッケルト、ゲーテ、アイヒェンドルフ、ミュラーなど多彩。
例えば1860年に完成された作品17の第4曲「フィンガルの歌」。曲調は後の第3交響曲の第2楽章を思わせる。アイルランドの英雄フィンを主人公にした葬送の歌。神々しくも美しい。

風さわぐ岩にもたれて泣け。イニストアの乙女よ、泣け。山の精より愛らしいお前の美しい頭の波の上にたれよ。彼が昼間の陽光の中で、朝の静けさをこえてかけるときに。思えの若者はそこに斃れた。彼はキヤサンの刃で青白く死んだ。・・・

そして、作品93aの第4曲はゲーテの詩による「肝に銘じよ」と題する歌。

臆病な考え、
不安から動揺すること、
びびって尻込みしたり、
不満を言うこと、
どんなにそういうことをしても
結局苦痛は逃れられない、
それによってあなたが解放されることはない。

あらゆる力をものともせず
決して跪くな
強さを誇示し、
神の御前に
武器をとれ!

臆病者ヨハネスはさぞかし、この詩にピンときただろう・・・(笑)。
大事なのは「勇気」である。


7 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介の合唱作品は未聴です。

このところ、素っ気なく明るく健康極まりない(呼吸の浅い? 過呼吸にならない?)ショルティ&シカゴ響のブラームスを、高く評価できるようになりました。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/51029
ブラームス嫌いのためのブラームスかも。

前にも言ったけど、ノリントンのブラームスも好きです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3971270
ノン・ビブラート主体の弦の味が、ブラームスざまあみろという快感。

こんなブラームスとの付き合い方もオツなものです。

返信する
雅之

追記

映画「クララ・シューマン 愛の協奏曲」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3691662
での明るいブラームス像は、ショルティやノリントンの解釈に近いような気もします。しかし、意外にそれが真実だったのかも。

いずれにせよ、私や岡本さんごときにワシの何がわかるんだと、きっと舌を出して大笑いしてますよ、ブラームス大先生は(笑)。

>臆病者ヨハネス

お前が言うか!! お前らには言われたくない!! ともね(笑)。

私はあなたとは違うんです(ブラームス)。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
ショルティもノリントンも「残念ながら未聴です。
しかしながら、おっしゃるように明るい側面にフォーカスを当てるとありなのかもですね。
というより、そういうブラームスも聴いてみたいものです、できれば実演で。

>私や岡本さんごときにワシの何がわかるんだと、きっと舌を出して大笑いしてますよ
>お前が言うか!! お前らには言われたくない!!

いやいや、わかるんです、ブラームス先生!と口答えしたいと思います。(笑)

返信する
ほんだぱん

お久しぶりです。
毎日、寒いですが、とても健やかそうなご様子を、ブログやfacebookで拝見し、
なんだか勝手に元気を分けて頂いています。
武道を始められたのも、良かったですね。
ダンスにしろ、武道にしろ、マイムにしろ、スポーツにしろ、
体を使うことは、自分と総合的に向き合う機会と時間を与えてくれますよね。
自分の体の、弱点、強み、自分の感性、これら全てと向き合わざるを得ないな、と感じるからです。
思考の癖は、体に表れますし、体の癖も、思考に影響します。
なーんて(笑)
こんなこと、今の岡本さんが一番新鮮に発見し、面白がってる所じゃないかな?と思います。
私は、そんなこと思ってダンスを始めたわけではないのですが、
今振り返って、思い返し、突き詰めると、そんな風に総括されて、とても面白いです。
そしてダンスに音楽は不可欠。やはり人間には芸術は不可欠だと思います(飛躍しすぎかもしれないけど)。
これから、岡本流が、さらにしなやかに進化していくのかと思うと、
なんだか勝手に非常に嬉しく、また刺激的です。

「臆病な考え、
不安から動揺すること、
びびって尻込みしたり、
不満を言うこと、
どんなにそういうことをしても
結局苦痛は逃れられない、
それによってあなたが解放されることはない。」

とても、素敵な言葉ですね。心から、共感します。
これは紛れも無い事実。
だったら私はどう動く?どう考える?何を大切にする?どこを本質だとする?何を心の底が求めている?
その発想を、よりしなやかで、強靭なものにするのに、セミナーで得たことが今でも輝きを失っていませんよ。
今の私が笑っていられるのも、そのおかげです。心から感謝です。ぜひ邁進してくださいね。

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岡本 浩和

>ほんだぱん
おはよう。
手術も無事済み、うまくいったようですね。良かったです。
人生いろいろと起こりますが、すべて意味あることだからね。
ほんだぱんのブログも読ませてもらってますが、前向きでいいなと思っています。

そうそう、合気道を始めて新たな気づきがあります。それも体感的に。
思考だけでなく、身体の癖もわかります。面白いね。

>これから、岡本流が、さらにしなやかに進化していくのかと思うと、
なんだか勝手に非常に嬉しく、また刺激的です。
>その発想を、よりしなやかで、強靭なものにするのに、セミナーで得たことが今でも輝きを失っていませんよ。
今の私が笑っていられるのも、そのおかげです。心から感謝です。

ありがとう。そう言っていただけると勇気が湧いてきます。今日は2日目です。がんばります。

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