カラヤンの映像

すみだ学習ガーデン第8回「早わかりクラシック音楽入門講座」の日。いわゆる国民楽派といわれるドヴォルザークとチャイコフスキーがテーマ。いずれも日本人好みの美しい民族的旋律が特長で、久しぶりに視聴してみると思わず引き込まれる魅力を持つ。玄人筋からは二流作曲家のレッテルの貼られることが多々ある音楽家だが、何を何を・・・。やっぱりこの二人は西洋音楽史的になくてはならない存在だと確信する。
ところで、いくつか映像を採り上げた中で気になった点。
例えば、カラヤンが生前に映像として残した数々の作品のほとんどは、彼独自の美学のもと相当な編集が施され、オーケストラの一部の楽器がクローズアップされたり、指揮者と管弦楽団のバランスがおかしかったり、どうも今の目からすると不自然さが拭えない。音楽だけを耳にするのならともかく、映像付で音楽を楽しむなら、やはりコンサート風景そのままをありのままに収録する方が心地が良い。
本日視聴した「新世界」交響曲なども、最晩年のカラヤンの颯爽としながらも深みのあるせっかくの解釈が趣味の悪い映像により完全にスポイルされており、とてももったいないと感じてしまった。

ひょっとするとカラヤンの薄っぺらさというのはこういう「不自然さ」に端を発しているものかも。かっこうをつけず、ありのままを表現した方がより人々に感動を与えるだろうに。偉そうな言い方だが、その方がカラヤン本来の天才性を活かせたのではないかと僕は思う。

ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1985.2.6-9収録)

そういえば、僕が中学の時、クラシック音楽の右も左もわからなかった少年の頃、初めて購入したアナログ盤がカラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団による「運命」と「新世界より」をカップリングした廉価盤だったことを思い出した。あのレコードは本当によく聴いた。どんな演奏だったか細部までの記憶は非常に曖昧だが、若々しい、快速テンポのエネルギッシュなそれだったように思う。それから比べても、基本の造形はほとんど変わらない。でも、中身は随分変わったのでは、と今回のこの映像を久しぶりに確認して感じた。

さすがに眠い。午前4時に起きて1日フル活動すると相当に疲労する。
明日は1日ワークショップのため1時間でも多く睡眠をとりたい。ということで、もう寝る。
そして、明朝の寒稽古は休むことになるだろう(もちろん目が覚めたら参加するけれど・・・)。


5 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>ひょっとするとカラヤンの薄っぺらさというのはこういう「不自然さ」に端を発しているものかも。かっこうをつけず、ありのままを表現した方がより人々に感動を与えるだろうに。偉そうな言い方だが、

いや、私を含めかつて多くのプライド(だけ)が高いクラヲタが持っていた典型的な意見でしょうね。
相手はそんな批判百も承知のクラシック界大御所による「確信犯」、それにみんなマジに食いつきムキになってまんまと嵌められていたんでしょうね。多くの「アンチ」を生み市場全体が活気付き、市場規模が拡大する・・・、かつてのプロ野球「ジャイアンツ」と一緒の論理。

で、何だかんだ言って、結局クラヲタはカラヤンの思う壺、いい鴨ネギ(笑)。

でもカラヤンという偉大な悪役がいたおかげで、みんながいろんなことを学び気づかせてもらったわけでしょう。今更ながらクラシック業界の最大の功労者でしたね、彼は。大恩人です。

「あざとい」奴の台頭っていうのが、どの世界でも、その世界を活気づけるキーワード、今のクラシック界にカラヤンのような「あざとい」人はいません。
秋元康がクラシック業界をプロデュースすれば、だいぶ面白くなると思います。

でも、そんなもの、もう私は買わない、今はユーチューブで充分ですもの。
http://www.youtube.com/watch?v=WuqyfEyNXQo

http://www.youtube.com/watch?v=vEVq_Bx7_KY&feature=fvst

※60年代録音のカラヤン&ベルリンPOのシベリウスだけは、他の音楽CDを全部売り払っても(マジそうする可能性がある)、死ぬまで付き合っていきたいと思っています。
結局、私の中でも勝負は決まっている。カラヤンの大勝利。

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雅之

それと、
>玄人筋からは二流作曲家のレッテルの貼られることが多々ある音楽家だが、

についてですが、
スコアが読めないアマチュアの与太話ならともかく、そんなレッテルを貼る玄人さん、どこに居るんですか? お目にかかりたいです。

好きか嫌いかという次元の話なら別ですが。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。

>スコアが読めないアマチュアの与太話ならともかく、そんなレッテルを貼る玄人さん、どこに居るんですか?

言葉の使い方の問題ですね。
確かにカラヤンについては「好きか嫌いか」です。

とはいえ、カラヤン信奉者も当然のようにたくさんいるわけで、その事実を認めた上で、カモになってもいいかなと最近は思います。映像収録のセンスのなさ(これも僕の勝手な判断ですので、いやあれがいいんだという意見も当然あるでしょう)に対して辟易しながらも、遅れてきたファンのように、今更その偉大さについて理解しつつあるからです。

60年代のシベリウスはもちろん最高です。
もちろんほかにも後世に残すべき偉大な録音はあるかもしれません。
で、やっぱり僕にとっての痛恨事は実演を聴いていないことだという結論に達しています。

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雅之

>玄人筋からは二流作曲家のレッテルの貼られることが多々ある音楽家だが、

いや、カラヤンのことではないでしょう。カラヤンはどっちだっていいです。

質問は、ドヴォルザークやチャイコフスキーについて、二流作曲家のレッテルの貼る玄人筋の人なんているんですか? ですよ。

それを言うなら、ドヴォルザークやチャイコフスキーは、
「音楽のことをよく知らない素人筋からは二流作曲家のレッテルの貼られることが多々ある音楽家だが、」
でしょう。

誤った事実を、世間に喧伝しないでください(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様

>誤った事実を、世間に喧伝しないでください

あ、失礼しました。
完全にぼけっとしてました・・・(笑)

そうですよね・・・。

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