ビートルズに関する空想と戯言

久しぶりに1日籠ってデスクワークをしていた。BGMにはもちろんショスタコーヴィチの第4シンフォニー初期弦楽四重奏曲など。そして気分転換にとMiles Davisの”Round About Midnight”にThe Beatles・・・。
そこで1999年にリリースされたThe Beatlesの”Yellow Submarine Songtrack”についての空想、あるいは独断と偏見の戯言を。
1965年~67年の、いわゆるビートルズ全盛期の楽曲を集成したこのアルバムの価値は非常に高い。もちろんオリジナル至上主義者からしてみたら単なる寄せ集めのベスト・アルバムに過ぎないのだけれど。

一般的にアルバム”Yellow Submarine”の評価は決して高くないように思う。それは映画のサントラとしてよりもThe Beatlesのアルバムとして期待するファンが多いからだろうか。僕などは初めて耳にした30年前に、B面のジョージ・マーティンによるインストゥルメンタル曲の何とも優雅な響きにうっとりしてすぐに好きになったけれど(クラシック音楽を趣味にしていたから一方でそのムード音楽風の音調にあっという間に飽きてしまったが)・・・。ただし、確かに彼らのアルバムの中で聴く頻度は最も低い。

さて件のソングトラック。今が2012年だからかどうなのか、もちろん制作者の誰もそんな意図など持っていないのだろうが、これからの時代を「どう生きるべきか」、素直に教えてくれているんじゃなかろうかと感じた。

The Beatles:Yellow Submarine Songtrack

タイトル・ソングである1曲目の”Yellow Submarine”のサビの歌詞は、“We all live in a yellow submarine”(僕たちはみんな黄色い潜水艦で暮らしている)というもの。何だ、黄色い潜水艦って?うん、世界の中でのアジアということか。そして、2曲目”Hey Bulldog”は途中に”You can talk to me, if you’re lonely”(寂しくなったら僕に話しかけてごらん)という詞が歌われる。3曲目の”Eleanor Rigby”は冒頭からいきなり”Ah, look at all the lonely people”(あの孤独な人たちを見てごらん)だ。そして、ジョージのシタールの前奏を伴った”Love You To”。インドで瞑想しながらぶっ飛んでいるジョージの姿が浮かぶ。
5曲目は”All Together Now”(みんな一緒に=「和」)だ。
ここまでで「現代の荒廃した世の中を救うのは日本人だ!」なんてのは考え過ぎか??(笑)
そして、名作”Sgt.Pepper’s”からの数曲を中心にいくつかが挟まれ、”All You Need Is Love”(愛こそはすべて)と歌い上げられるあの名曲が。ここで、”Nowhere Man”である。

“He’s a real nowhere man
Sitting in his nowhere land
Making all his nowhere plans for nobody”

内田久美子氏が次のように訳すこの歌い出しに僕は注目する。
「あいつはどこにも行き場のない男
実在しない空想の国に閉じこもり
誰のためともなく、どうなる当てもない計画を立てる」

うーん、何か違う。決してこんなにネガティブな内容ではないと思う。そこで英語歌詞を凝視して考える。
いや、彼は行き場がないのでなく、どこにもあるのである。「空(くう)」の世界に入り、時空を超えどこにでも思念を移動できる状態にあるということだ。そして彼は彼ではなく誰でもないのだとあえて主張する。裏返せば特定の誰かのためでなく大いなるすべての魂のために彼(nobody)は尽力するというのだ。それは誰か。黄色い潜水艦に住む人々だということ。ついにアルバム掉尾を飾る楽曲”It’s All Too Much”。

It’s all too much for me to take
The love that’s shining all around you
「君の周りに輝く大いなる愛をいただけるなんて僕には素晴らしすぎる」と。

我ながらひどい妄想だ、いや、絶好調か(笑)
戯言おわり。


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