パヴァーヌ~かもめの歌

今年はラヴェルの没後70年ということもあり、知ってか知らずかあちこちで彼の音楽を聴くことが多い。ラヴェルの楽曲を特別愛着持って聴いてきたわけではないのだが、一時期バレエにはまっていた時期があったゆえ、近現代フランス音楽の中では結構お気に入りの部類の音楽であるのは間違いない。殊に「亡き王女のパヴァーヌ」という音楽が好きで、時折CDトレイに音盤を乗せて、悦に浸っている。その際、取りだすのは必ず、クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団盤である。

今日も久しぶりにこの楽曲を聴いていたのだが、聴きながらふとキング・クリムゾンの「かもめの歌」を思い出した。第4作目「アイランズ」に収録されているオーボエがメロディを奏でるクラシカルな室内楽的名曲なのだが、曲想や旋律、雰囲気がとても似ているのだ。

King Crimson:Islands

ロバート・フリップ(ギター、メロトロン)
メル・コリンズ(フルート、サックス)
ボズ・バレル(ベース、リード・ヴォーカル)
イアン・ウォレス(ドラムス)
ピート・シンフィールド(作詞)
ほか

初期のクリムゾンはロバート・フリップを唯一例外として、各アルバムごとにメンバーが異なっているというのが特徴だ。とにかく他のメンバーがフリップの志向性についていけなくなるのだろうか、69年~71年頃のクリムゾンは安定しない。とはいえ、メンバーの音楽的テクニックは抜群で、3作目の「Lizard」を除き、どれも一聴に値する傑作揃いだと僕は思う(「Lizard」だけはどうも頻繁に聴く気になれない。コンセプトが曖昧で雑多な印象を与えるのだ。正直つまらない)。
「かもめの歌(Prelude:Song of the Gulls)」はタイトル通り、ラスト・ナンバー「Islands」の前奏曲的な意味合いを持たせられているインストゥルメンタル曲である。「かもめの歌」と「アイランズ」は連続して聴くべし。その哀感漂う静かな音色は秋深まる今頃にとてもしっくりくる。72年以降の爆発するメタル・クリムゾンの伏線ともいえる裏名盤(?)、それが「Islands」だ。とにかく素晴らしい・・・。

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2 COMMENTS

アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » King Crimson “Lizard”

[…] 歴代キング・クリムゾンの全アルバムの中で最も聴く回数の少ないアルバムがおそらく3枚目の「リザード」。始めて購入したのは30年近く前。もちろんアナログ盤だったが、その頃から「宮殿」や「ポセイドン」、あるいは「アイランド」などは繰り返し頻繁にプレーヤーに載せるのに、この作品だけはどうにも食指が動かなかった。 それは今でも変わらない。久しぶりに思い出したように聴いてみても、正直面白いと思えない。いや、音楽的には多分面白いところもあるのだけれど、キング・クリムゾンとして聴いたときのインパクトがあまりに薄い点が評価を下げる。 そういえば、ロバート・フリップはいくつかコンピレーション・アルバム、いわゆるベスト盤をリリースしているが、この「リザード」からの楽曲は1曲も入れたことがないんじゃないか・・・(ライブでも演奏してないんじゃないかな・・・どうだろう?)。そもそも主宰する人間が葬り去るような作品群ゆえいくらクリムゾン・フリークと雖もなかなかエッセンスを汲み取るのは難しい。 […]

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