ミラノ・スカラ座のブーニン

8月に入るとどういうわけか蝉の鳴き声が大きくなる。
そして早くも残暑の気配が感じられる。
音楽と蝉の声とのコラボ・・・。

20年前にミラノ・スカラ座でブーニンが開いたリサイタルの実況録音盤。
オール・ショパン・プログラム。さすがにその6年前のショパン国際コンクールの覇者だけある、余裕のある演奏だけれど、もうひとつ心に迫って来ない。その証拠に当時数回聴き流した程度で、こういう音盤を所有していることすらすっかり忘れていたくらいで、ここのところのショパンやドビュッシーを集中的に聴き込んでいる関係でふと棚から発見した、その程度の認識しかなかった代物。
若い頃と違って、そもそもショパンにそれほどの魅力を感じなくなっているのか・・・。
おそらくそれはある。オール・ショパンで塗りたくられたプログラムとなると、今ならまったく食指は動かぬ(笑)。それと、「幻想曲」と「葬送ソナタ」は良いとしても、ワルツ全曲というのが少々辛い。
ショパンでもどんな作曲家でもCDを制作するときに、○○全曲集という方法が割合に一般的だと思うが、少なくとも今の僕の趣味からすると、作曲年代別に並べてもらった方が、あるいは網羅してもらった方が興味深い。
そういえば、これも30年くらい前だったか、アシュケナージが作曲順に並べてアルバムをリリースし、ショパン全集を完成させたっけ・・・。確かあれも全集にまとめた時点で「曲別」のつくりになったんじゃなかったか。もうそれで随分興醒めだった。

ドビュッシーやショパンの資料を再度読み込みながら思うこと。
作曲家の人生をひもときながら、その頃その時に生み出された音楽を聴くことの面白さ、そして醍醐味。

ミラノ・スカラ座のブーニン
ショパン:
・幻想曲ヘ短調作品49
・ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調作品35「葬送」
・ワルツ全集(第1番~第14番)
~アンコール
ドビュッシー
・トッカータ~「ピアノのために」
・月の光~「ベルガマスク組曲」
スタニスラフ・ブーニン(ピアノ)(1992.10.11Live)

決してブーニンの演奏に問題があるのではない。そもそも僕の今の心構えに問題があるのだ。楽曲毎の盛大な拍手喝采を聴くにつけ、その時その場でこの演奏に触れていたら猛烈に感動しただろうと感じられるゆえ。
ブーニンはどちらかというとバッハなどのポリフォニーに適応性があるように僕は思う(バッハ・リサイタルはも最高の演奏!)。
その意味では彼のドビュッシーもあまりに軽い(実演に触れたらまた別だろうけど)。


6 COMMENTS

岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
ご紹介のアラウのファイナルセッションズは僕も愛聴しております。
過去、2度ほど採り上げました。
http://classic.opus-3.net/blog/?p=3859
http://classic.opus-3.net/blog/?p=2683

ドビュッシーへの評価がここ5年で随分変わりました(笑)

>この、重心が低く、春の花曇りのような趣のあるドビュッシー、もっと高く評価されるべきだと思っています。

同感です。

返信する
雅之

もう、さすがに昔のコメントのことは忘れつつあります。

>ドビュッシーへの評価がここ5年で随分変わりました(笑)

今後も変わり続けるでしょう。いつだって通過点、それが音楽です(笑)。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。

>さすがに昔のコメントのことは忘れつつあります。

記憶力抜群の雅之さんも歳には勝てませんか?!(笑)

>今後も変わり続けるでしょう。いつだって通過点、それが音楽です

はい。

返信する
雅之

>記憶力抜群の雅之さんも歳には勝てませんか?!(笑)

ここでコメントを書く熱意と執念がだいぶ失せただけです(笑)。

出勤前の短い時間に、いちいち思い出していられるかってんだ。

返信する
岡本 浩和

>雅之様

>ここでコメントを書く熱意と執念がだいぶ失せただけです(笑)。

だいぶマンネリですかね?(笑)
まぁ、僕も毎日飽きもせず同じようなこと書いてますからね・・・。

ご無理なさらず適当で良いですよ。

返信する

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