「クリーム」という世界について感じてみた

3人で集まると、サシの時と違って話題の幅が広がる。いや、幅が広がるというより内容が深くなる。2人の会話にオブザーバーがいて、客観的な意見をぶつけられることで自ずと深掘りされるような。気のせいだろうか・・・。

三位一体という言葉があるように、音楽でも三重奏というのはすごく安定感があり(音楽の場合、3人だと音の厚みに乏しいような気もするが、それが意外にそうでもない)、調和が感じられる。ましてや、一人一人の奏者が「我ここにあり」とばかりに丁々発止と攻め立てると余計に場のエネルギーが凝縮し、拡散する。音楽の力というものを感じる瞬間だ。とはいえ、ひとりひとりの「我」が正面から拮抗するわけだから非常に壊れやすいという難点もある(しかし、そこがまた聴いていて面白いところ)。
クラシック音楽でもトリオというのは名曲が多い。もちろんそれは演奏者の力量によるところが大きい。ゆえに名演にも凡演にもどちらにも転ぶ可能性が常について回る。それはジャズやロックでも同じだろう。ビル・エヴァンスのファースト・トリオなんていうのは不世出のグループだけれど、スコット・ラファロがもう少し長生きしていたら、意外につまらない演奏をやってのけたかもしれない、とふと考えることがある。ロック音楽でも、例えばエマーソン・レイク&パーマーあたりは「ワークス」以降というのはどうにも求心力が低くなって面白味に欠ける。それでもポリスのアンサンブルに一部の隙もなかったのは驚異・・・。

ちなみに、「システム思考ワークショップ」なるものを1年ほど前から開催するが、そこではピーター・センゲ教授が重要視する「学習する組織」というものを規範にしており、誰かがリーダーシップをとって他を引っ張ってゆくというチームはもはや時代遅れで、これからは組織の一人一人が学習し、各々がリーダーとして機能していけるようになることが大切だと強調している。

そんなことを考えながら、試しに後にも先にもないロック界の不滅のトリオ、クリームを聴いてみる。ブルースを基調としたこのバンドの音を、昔はよくわからなかった。しかし、ここにはレッド・ツェッペリン同様、決して色褪せない「音楽」が存在する。

The very best of cream

Personnel
Eric Clapton (guitar and vocals)
Jack Bruce (bass guitar, acoustic guitar, piano, organ, harmonica, cello and vocals)
Ginger Baker (drums, percussion and vocals)

レコード会社の意向では既に名声を得ていたエリック・クラプトンを前面に出し、世に売り出す計画が立てられたが、バンドの意志でその意図はご破算になり、3人が完全に対等の立場でプレイすることでポジションを確立、後々にまで影響を与えたことは有名な話。
絶好調の時の彼らの演奏、特にライブは神懸る。3人が三者三様にテクニックをぶつけ合った結果最高のパフォーマンスが現出する。
それにしてもエリック・クラプトンのギターはこの頃からクラプトンだったことがよくわかる(当たり前だけれど)。

今夜、第2回「紗来展」に行った。この子は大変な才能を持っていると前から思っていたが、回数を重ねるに従って進化する姿を見てそのことを確信する。「意識を外に置くこと」が才能を伸ばすことは間違いない。


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