クレーメルの「バック・トゥ・バッハ」

無為な数時間を過ごしてしまった。
「早わかりクラシック音楽講座」のサイトはMT4で管理しているのだが、これがとても厄介。WPと違って再構築をしないとサイトに反映されず、この再構築に時間がかかることと、時に意味不明のトラブルが起こり、いらいらすることしきり。ブログ等は2年前にWPに乗り換えたので全く軽快で問題なしなのだけれど。
午前中の講座のことを早速サイトにアップしようとしたところ、エラーメッセージ。5時間近く格闘していただろうか・・・(苦笑)。友人に協力してもらって何となく原因が掴めたのでほとんど裏ワザ的手動でようやく反映された。うーん、やっぱりMTはじゃじゃ馬なり

会社内のイベントということでハードルを少し下げたつもりだったのだけれど、少々難しかったみたい。バッハの音楽は「何となく」聴く分には癒しになって良いのだけれど、生い立ちや時代背景を知り、しかも彼の数学的思考をなぞりながらの説明などを聞くとなると途端に左脳が働き始めて「音楽」が遠いものになる。様子を伺っていて、少し中身を変えた方が良さそうだと判断してロストロポーヴィチの弾く無伴奏チェロ組曲の視聴は止めにして、代わりにコラール「主よ人の望みの喜びよ」のアレンジ聴き比べや「アリア」をCDで聴いていただいた。さすがに有名曲だけある。そのあたりの取っ付きは良かったみたい。

メインにブランデンブルク協奏曲第5番を据えた。それも、予定していたリヒター&ミュンヘン・バッハ管のを止め、アバド&モーツァルト管による最新の映像で。これが結果的に良かった。大病後のアバドの演奏というのは極めてレベルが高い。最後に参加者の希望により第6番を聴いてみたのだけれど、この曲でアバドは指揮を執っていない。モーツァルト管のメンバーのまさに「自主」に任せての演奏で、類稀なる対比と効果を生んでいるのである。何て素晴らしい!ブランデンブルクの第6番を聴いて、こんなにも愉悦に溢れ、心が震えるような経験は初めてかも。

それと、講座の進行上での新機軸(?)。まずは一切の説明なしにグレン・グールドの「ゴルトベルク変奏曲」第26変奏以降を視聴いただいた。おそらく皆さん度肝を抜かれていたのでは?ほとんどクラシック音楽など縁のないという人たちが多かったものだから・・・。
バッハは天才であるが、それ以上に職人であったこと、幼い頃からの絶え間ない努力の賜物としての作品群なんだということを知っていただきたかったから。それはグールドだってそうかもしれない(もちろんバッハもグールドも間違いなく「天才」なんだけれど)。

間で観たクレーメルによる「シャコンヌ」も絶品。参加者で卒倒されていた方もいたのでは(?)それくらいに厳しくも熱い演奏が繰り広げられる。
ある男性参加者の言葉「ギドン・クレーメル。初めて知りましたが、とても感動しました」

バック・トゥ・バッハ
J.S.バッハ:
・無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番ロ短調BWV1002
・無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1004
・無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調BWV1006
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)(2001.9録音)

ロッケンハウスの聖ニコラス教会での録音。
相変わらずクレーメルの恍惚の表情はいただけないが(笑)、以前に比べてだらしなさは感じなくなったかも。どちらかというとその陶酔ぶりが音楽の緊張感を和らげ、聴く者に良い意味での「一体感」をもたらしてくれる。
そう、昔はこれらの無伴奏曲は近寄りがたかった。それを、初めて聴く人が感動したというのだから何かが違うのだろう。

本日思ったこと。
クラシック音楽愛好家の裾野を拡げるために至る所で講座を開くことは重要だということ。まったく興味を持たなかった人が何かを感じて、聴いてみようとするきっかけになることは間違いない。今後も、止められない・・・。


1 COMMENT

アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » ニコラーエワのバッハ「フランス組曲」

[…] 例えば、彼の作品は数学的にみても緻密な計算が施され、それが単なる左脳レベルの浅いものでなく、森羅万象すべてを包括する偉大なるものとおそらく相似形を成すという意味で、これはもう神様の手によって「作らされている」としか思えないものがほとんど。昨日の無伴奏チェロ組曲然り、あるいは無伴奏ヴァイオリン曲もそう。フランス組曲やイギリス組曲というクラヴィーア曲もそうだ、どういうわけかすべて6曲で一組であることが興味深い。うん、「クラウド・アトラス」を鑑賞して少々こじつけてみると、6という数字が神聖な数字、意味のある数字のように思えてならない。 […]

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