今の世の中とても便利だ。調べ事があるとインターネットで検索すれば大抵の情報は即座に手に入る。昔、観たくてもそう簡単には観ることができなかった音楽映像だってYoutubeに頼れば大抵のものは容易に可能。
一方で、特別な映像(AVじゃないですよ・・・笑)を手に入れてドキドキしながら観た、あの興奮とワクワク感や、自分だけが所有する喜びのようなものは当然失われた。
渇望と達成感。このバランスがとても大切なんだと僕は思う。どんなことでも簡単にできてしまってはつまらない。ある程度高いハードルがあってこそ、そのことが実現できた時の高揚感・・・。それこそが人の心を育てる要素のひとつでないのか・・・。
キング・クリムゾンの40th Anniversary Seriesにはいずれの盤にも当時の珍しい映像が収録されている。傑作”Starless and Bible Black”では、1973年6月25日のニューヨーク、セントラル・パークでのコンサートの模様の一部を観ることができる。この映像を観るのは初めてかも・・・。余計な、煩わしい編集がされておらず、途轍もない緊張感の中、ただひたすら座してギターに向かうフリップ御大とウェットンやクロス、ブラッフォードの神々しいバトル・シーンが短い時間ながら堪能でき、4人の貴重な演奏姿がクローズアップされること、画像そのものが極めて鮮明であることが嬉しい。
「我々は娯楽のためのバンドではない。知的なバンドなのだ」(1973.9.28ロバート・フリップ談)
凄まじき集中力。創造と破壊。緊張と弛緩。崩壊寸前という状態と見事にひとつになる状態とのギリギリの一点が保たれていた、まさにその頃の貴重な映像。クリムゾンの音盤は再発されるたびに新たなボーナス・トラックが入っていたりするので、もう何度も買わされているけれど(笑)、40th Anniversary Seriesはこの映像が観られるというだけで手に取る価値は十分にある(いまやYoutubeでも視聴可能・・・笑)。
King Crimson:Starless and Bible Black (40th Anniversary Series)
Personnel
David Cross (violin, viola, keyboards)
Robert Fripp ( guitar, mellotron, devices)
John Wetton (bass and voice)
William Brufford (percussives)
言葉を失う。1973年のクリムゾンの世界は、動と静のバランスが驚異的。”Trio”(実際には演奏に参加していないブラッフォードがクレジットされているのは、彼の控えめな態度に対して「黙っていてくれた」ことが曲作りに貢献したのだと後にフリップは語っている。このあたりの暗黙の了解に当時のクリムゾンの阿吽の呼吸が感じられて興味深い)の切なくなるほどの柔和で安寧に満ちた「時」を間に挟み、その前後には重戦車のような破壊力抜群のパフォーマンスが揃う。ライブとスタジオ録音の混合した、その意味では音質の違いが明らかであるにもかかわらず、音楽の流れをまったく損ねない(むしろこうであらねばならぬ)完全な作品だと言い切れる。
アナログ盤で言うところのB面こそ真骨頂。
タイトル曲の混沌から調和に至る時間と空間の妙味。そして、最高傑作”Fracture”の抜群の技術!こちらについても後にフリップは語る。
「この曲をなぜ難しく作ったかって?毎日練習を積み重ねなければならない状態に、自分を含めて、バンド全体を置いてみたかったんだ」
何とストイックな!!
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ご無沙汰しております。
岡本さんて、カラオケで発散されるタイプにはお見受けしないのですが
最近のカラオケって凄いらしいですね?
オリジナルの演奏で歌えるものも増えているようで…眩暈が(笑)
先日、「スターレス」の存在を初めて知る機会に恵まれ、もうイントロが
流れ出した途端……余りのことに笑ってしまいました。
「そんな暇はありませんよ」と怒られそうですが、一度お試しになられて
みては?
未知の世界が広がっているかも…(笑)
>みどり様
カラオケでクリムゾンですか!!
ひょっとして「スターレス」歌われたんですか?!(笑)
僕は基本的にカラオケには行かないので、どうしても行かざるを得ない状況が来たときにチャレンジしてみます。(笑)
ありがとうございます。
[…] ※過去記事(2013年6月20日)※過去記事(2009年1月20日) […]