マキシム・ヴェンゲーロフ with ポーランド室内管弦楽団2014

vengerov_festival_2014会場を出たら雨。天もそんなに感動したのか・・・。
巧い、本当に巧い。言葉に表すことがもはやできないほど。まるでヴァイオリンが身体の一部であるがの如く自由自在。それほどに「楽器」の存在を感じさせない「音楽」そのものが鳴り響いたひと時。

「ヴェンゲーロフ・フェスティバル2014」の幕開け。まずは濃淡のはっきりした強弱の移ろいの見事なモーツァルトの協奏曲。冒頭のオーケストラの出から何という浪漫的でゆったりした、しかも高貴な音楽であることか。ましてやヴェンゲーロフの、芯の図太い、安定した力強くも繊細な独奏ヴァイオリンの音色と管弦楽がひとつになる時の恍惚の響きといったら・・・。いずれの協奏曲も緩徐楽章が特に素晴らしい。とても19歳とは思えぬ筆致の、ほとんどブラームスのような秋の気配、すなわち円熟の境地を醸すこれらの音楽はマキシム・ヴェンゲーロフの独奏と指揮をもって生まれ変わったかのよう。
そう、K.218&K.219がこの上なく高貴で堂々たる作品として僕の眼前に現れたのだ。

ヴェンゲーロフ・フェスティバル2014
2014年5月26日(月)19:00開演
サントリーホール
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン&指揮)
ポーランド室内管弦楽団
モーツァルト:
・ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218
・ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」
休憩
チャイコフスキー:
・憂鬱なセレナード作品26
・「懐かしい土地の思い出」~スケルツォ作品42-2
・「懐かしい土地の思い出」~メロディ作品42-3
・「懐かしい土地の思い出」~瞑想曲作品42-1
・ワルツ・スケルツォ作品34
サン=サーンス:
・ハバネラ作品83
・序奏とロンド・カプリチオーソ作品28
~アンコール
・ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

演奏者の希望により、マスネの「タイースの瞑想曲」がチャイコフスキーの「メロディ」と「瞑想曲」に変更になった。何というプログラミングの妙。「憂鬱なセレナード」が終った後、聴衆の拍手を制してマキシムはすぐさま「懐かしい土地の思い出」を続けた。そして、そのままチャイコフスキーの5曲がまるでヴァイオリン独奏を伴った第2の弦楽セレナードのように演奏されたのだった。「これでいいのだ!」と僕は膝を打った。
さすがにお国ものだけある。豊饒なヴィブラートと濃厚なポルタメントに支えられ、チャイコフスキーの憂愁と懐古がマキシム・ヴェンゲーロフによって絵画の如く示された。
チャイコフスキーはモーツァルトを神と崇めた。モーツァルトのエッセンスを自身のうちに取り込み、あくまで自分の音楽として心情を吐露、表現した。そのことが如実にわかる演奏。僕は思わず頭を垂れた。

さらにサン=サーンスと来る。ジプシー風の、民族色豊かな2つのヴァイオリン音楽が、伴奏に管楽器や打楽器が入っていなかったことが残念ではあるのだが、マキシムの途轍もないテクニックの下、緊張と弛緩とともに色彩豊かな絵として描かれた。何という優美さ、何という躍動感!!
超高音においても重低音においても一切ぶれることのないマキシムの独奏にひれ伏した。
アンコールも素晴らしかった。今宵の白眉はモーツァルト。形式的に端整でありながら情緒に溢れ、音楽しか感じさせなかった2つの協奏曲に僕は震えた。

さて、6月7日(土)はリサイタル。ますます楽しみになった。
と思って、今チケットを確かめたら昼間の開催ではないか!!(夜だと勘違いしていた)
嗚呼、仕事なり・・・。何と行けないということ・・・。哀しい、哀し過ぎる。言葉も出ない(涙)。

 


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