ネステロヴィチのマイアベーア「オペラからのバレエ音楽集」を聴いて思ふ

meyerbeer_ballet_music_nesterowicz_barcelona探していた音楽に思わず遭遇する喜び。
かつて二十世紀バレエ団とキーロフ・バレエの共演を記録した「ニュイ・ブランシュ・ド・ラ・ダンス」というレーザーディスクがあった。ジョルジュ・ドンの「若きダンサーの肖像」とあわせいまだ(おそらく?)DVD化されていないモダン・バレエの傑作映像。

もう25年も前のこと。「1830年」における、ファルフ・ルジマトフとキーロフ・バレエによる群舞に釘付けになった。舞踏もそうだが、そのいかにも雄渾な音楽に一耳惚れ。モーリス・ベジャールの選曲はいつも素晴らしい。当時は調べる手段が限られており、ジャコモ・マイアベーアの作品だということがわかっただけで、結局そのまま時は流れ・・・。本当はマイアベーアの作品を順番に買い込み、ひとつずつ聴き込んでゆけば辿り着いたのだろうが、そもそも彼の音楽にシンパシーを感じていなかったのと、そんな根気もなかったのと・・・。

今年はマイアベーア没後150年である。様々珍しい音盤がリリースされることだろう。
「あ、ここにある」と直感。でかしたNaxos!!!店頭で見かけ、迷いなく手を伸ばした。

マイアベーア:オペラからのバレエ音楽集
・歌劇「ユグノー教徒」から第3幕「ジプシーの踊り」
・歌劇「悪魔のロベール」から第2幕「5人の踊り」&第3幕「尼僧たちのバレエ」
・歌劇「北極星」から「ダンス組曲」
・歌劇「預言者」から第3幕「スケートをする人々のバレエ」
・歌劇「アフリカの女」から第4幕「インドの行進」
ミハル・ネステロヴィチ指揮バルセロナ交響楽団(2012.7.3-6録音)

歌劇「北極星」からの音楽に卒倒した。第2幕「ワルツ」はまさに「踊るための円舞曲」。キーロフ・バレエの群舞が思い出される。第1幕「祈り」はチャイコフスキーを思わせる平易で哀愁のある旋律であり、甘い音楽。
歌劇「預言者」第3幕「スケートをする人々のバレエ」からの「ワルツ」もそう。これほど僕の感性をどういうわけか揺さぶる舞踊音楽も珍しい。
ここには「ズンチャッチャ」というワルツの「正統」がある。ランナーやシュトラウスⅠ世によるウィンナ・ワルツの方法とはまた違ったフランス風貴族趣味に貫かれた魅せる舞踊。19世紀中ごろ当時、マイアベーアが一世を風靡したというのも何だか頷ける。
ところで、ミハル・ネステロヴィチという指揮者。実にオーソドックスな解釈で音楽を安心して堪能できる。踏み外しがない分、舞踊音楽としては面白味に欠けるけれど。

そういえば、2015年9月から大野和士がバルセロナ交響楽団の音楽監督に就く。
就任にあたっての彼のメッセージがこれまたお洒落。

パルジファル伝説を生んだモンサルヴァットの僧院跡、ガウディの建築、 そして、今では現代を代表するファッションをも生み出しているバルセロナこそは、 文字通り、人々の、文化の行き交うところと申せましょう。
楽員の表情を見てもその国際性が、よくわかり、大変見栄えがします。
そこから演奏されるサウンドは、私は、あえて「地中海の宝石」と呼びたい。
~サイト「指揮者 大野和士 最新情報」から抜粋

なるほど「地中海の宝石」とは言い得て妙。


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