King Crimson “Level Five”を聴いて思ふ

king_crimson_level_five387この「思念」のいわば垂れ流しは、かつてどこかで聴いたものだと思った。
記憶をひもといた。
ドミトリー・ショスタコーヴィチである。それも、特定の・・・、いったい何だったか?
しばらく「音」に浸っていて思い出した。理知的であるのだが、奥底に感情が刻印される音楽。それも極めて抑圧された感情が。
なるほど、キース・ジャレットが録音した「24の前奏曲とフーガ」作品87。あの中にも抑圧された自由があった。いや、自由をひけらかした抑鬱と言った方が正しいか?
とにかく、繊細で頭脳的なショスタコーヴィチの音符群を見事にジャズ的方法で(一見)「気ままに」音化した時間があそこにはあった。

キング・クリムゾン。よく聴くと、この中には1970年代の方法も、80年代のそれも、また90年代のエネルギーも垣間見ることができる。確かに、特にロバート・フリップがリーダーシップを握るようになってからのキング・クリムゾンの音楽は、常に先鋭的かつ自由であるように見せかけ、内実は懐古的で抑え込まれたものになった。
つまり、過去の創造物を、それとはわからない方法でうまく取り込み、新しい音楽を生み続けたのである。結果、彼らは常に時代の先を取り込みながら音楽を創造し、いつも聴衆を戸惑わせた。
思い起こしてみると、都度、僕もその10年前のアルバムを聴き、その度ごとにようやく開眼していた。

King Crimson:Level Five

Personnel
Adrian Belew (guitar, vocals)
Robert Fripp (guitar)
Trey Gunn (warr guitar)
Pat Mastelotto (drumming)

2002年のアルバムを久しぶりに取り出した。
4人編成クリムゾンのこのライブ・アルバムを聴いて思った。間違いなくそれまでのクリムゾンの方法を統合した代物だと。

私にとって重要な考えは
知性的な部分を削らずにロック・ミュージシャンになるということ
ロック・ミュージシャンには特有の反知的な面があり
ロック・ミュージシャンであるために
馬鹿な真似をする必要は全然ないと思うのだが
ロックは音楽ジャンルの中でもっとも柔軟な型の音楽だ
ロックの骨組みを元に
ジャズ、クラシック、トランス・ミュージック、ウルプドラムを弾きこなせると言える
ほとんどどんなものもロックの旗のもとからきていると言える
素晴らしい音楽的型を持っている
エリック・タム著/塚田千春訳「ロバート・フリップ―キング・クリムゾンからギター・クラフトまで」(宝島社)P37

これはロバート・フリップの言葉だが、逆に言うといつの時代もその時の音楽は「ロック」だったということだ。過去によって現在が作られ、未来が生れるのでなく、未来から過去が生れる出るのである。世界がパラレルで、時間と空間を超越して、フリップの思考が自由に飛び回り、必要な術を採り入れつつキング・クリムゾンという特別な作品が生まれた。なるほど、ドミトリー・ショスタコーヴィチの方法もキース・ジャレットの方法も同じようなものだ。
いずれも奇蹟である。

キング・クリムゾン、12年ぶりの来日公演が迫っている。何と7人編成!
僕にとっては20年前のダブル・トリオ編成の90年代クリムゾン以来の実演ということになる。
今年のツアーのセットリストを見るとかつての懐かしい名曲が目白押しで、いよいよ(ついに!)フリップはクリムゾンを封印しようとしているかとも思えるほど。
さて、どんなコンサートになるのだろう?

 

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2 Comments

雅之

>過去の創造物を、それとはわからない方法でうまく取り込み、新しい音楽を生み続けたのである。結果、彼らは常に時代の先を取り込みながら音楽を創造し、いつも聴衆を戸惑わせた。

大瀧詠一の超有名なエピソード、
ある人が大瀧に「あの曲は3つの曲からの剽窃ですね」と訊ねると彼は「その3つとあと2曲の5曲から出来てるけど、君は3曲しかわからなかったんだ」と言い返したというジョーク(山下達郎がしばしばラジオでする話・・・ Wikipediaより)を、思い出しました。

何だか、ショスタコーヴィチも同じようなことを言いそうですね(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様
大瀧さんのエピソードは知りませんでした!
達郎さんもそうですが、彼らのマニアックぶりは凡人にはついていけませんな。
してやられます。
先日の達郎さんのコンサートでのMCでもかなりのマニアックぶりが発揮されておりました。(笑)

そういう意味ではショスタコーヴィチも同じかもしれません。

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