ブーレーズ指揮ベルリン・フィルのラヴェル「マ・メール・ロワ」ほか(1993.3録音)を聴いて思ふ

ravel_rapsodie_espagnole_bolero_boulez_bpo166空気の澄んだ青空拡がる冬の一日。
めっきり寒さ募るこんな日に童謡「ペチカ」を。

雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
昔 昔よ 燃えろよペチカ
雪の降る夜は 楽しいペチカ
ペチカ燃えろよ 表は寒い
くりやくりやと 呼びますペチカ
(作詞:北原白秋、作曲:山田耕筰)

愉悦に満ち、優しいこの歌を聴くだけでどういうわけか身も心も温まる。音楽の力は偉大だ。そしてまた、それ以上に日本語という言葉に内在する「和」の力。僕たちは素晴らしい世界に今あるのだとあらためて知る。

で、このマザア・グウスの童謡はずいぶんと古いものです。古いものですけれど、いつまでたっても新しい。ほんとにいいものはいつまでたっても昔のままに新しいものです。考えてみてもその御本がでてから、イギリスの子供たちはどんなにしあわせになったかわかりません。その子供たちがおとなになり、またつぎからつぎにかわいい子供たちがうまれてきて、またつぎからつぎにこのお母さんがちょうのねんねこ唄をうたって大きくなってゆくのです。それにこの御本がでてからしあわせにされたのはそのイギリスの子供ばかりではありません。イギリスのことばをつかっている国々の子供はむろんのことですが、世界じゅうのいろいろな国のことばに訳されていますので、そうした国々の子供たちもみんなしあわせにされているはずです。それにいろいろ作曲されて、ずいぶんひろくうたわれているようです。

1921年に北原白秋が邦訳した「まざあ・ぐうす」(マ・メール・ロワ)の、『日本の子供たちに』と題するはしがきからの抜粋。「古いものですけれど、いつまでたっても新しい」という言い分が素晴らしい。良いものは永遠であり、決して廃れることがない。

ラヴェル:
・バレエ音楽「マ・メール・ロワ」
・海原の小舟
・道化師の朝の歌
・スペイン狂詩曲
・ボレロ
ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1993.3録音)

バレエ版全曲を収めた「マ・メール・ロワ」の煌びやかな美しさ。ベルリン・フィルの絶妙なアンサンブルと個々の楽器のソロの完璧さが堪能でき、一貫して見通しの良いブーレーズの音楽再生に舌を巻く。音楽は愉しくなければ。
そして、「海原の小舟」に聴く神秘的な響きと音楽の精妙な歌に心動き、また「道化師の朝の歌」にあるスペイン情緒溢れる音楽に心震える。

あるいは、「スペイン狂詩曲」に聴く幽玄。情熱的な音調が消え、その意味ではローカルでないグローバルな響きが顕著なのはベルリン・フィルの機能性なのかそれともブーレーズの解釈なのか・・・。激しくもきれいな第4曲「祭」に卒倒。
それにしても「ボレロ」での、各楽器の独奏のあまりの巧さに感嘆!実に端整で清楚な再現!!

日本における西洋クラシック音楽の礎を築いた山田耕筰の50回目の命日(12月29日)がまもなくだ。何とその日は、その後のクラシック音楽界の発展に貢献した朝比奈隆の命日でもある。不思議な符合。

 

ブログ・ランキングに参加しています。下のバナーを1クリック応援よろしくお願いいたします。


音楽(全般) ブログランキングへ


3 COMMENTS

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む