朝比奈隆のベートーヴェン全集2種

第26回早わかりクラシック音楽講座。珍しく常連っぽい人の参加はなく、全員が2~3回、または初めてという布陣。それでもさすがにベートーヴェンの楽曲は説得力があり、一同感動していただけたようで主宰する側としても納得のゆく3時間であった。
面白いのは終了後の懇親会以降。例によってビール片手にベジハムを使っての生春巻きや大根とがんもの炊き合わせ、そしてベジミートの回鍋肉をお出しし、すべて好評いただけた。お肉好きだという女性にも美味しいと喜んでいただけたのが何よりも収穫。さらには、音楽講座の裏バージョンということで、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聴き、僕が勝手にニュアンスが近いと思っているKing CrimsonのPrelude:Song of the Gullsを抜粋で聴く。その後、ムソルグスキーの「展覧会の絵」からキエフの大門のオリジナル・ピアノ版、ラヴェル編曲のオーケストラ版、そしてEmerson, Lake &Palmerのロック版と続き、皆の度肝を抜く。どんなジャンルにせよ古い音楽を語らせればどんどん出てきますよ、名作が!ともかく多くの方々に聴いていただきたい名作揃い。楽しかったです。

あとは吃驚仰天のおまけ。参加者で三島由紀夫ファンがいて、棚にあった「憂国」のDVDをみつけ、観てみたいとのたまわれる(笑)。では観るか!ということで30分ほどの本編と制作秘話が盛り込まれた映像を鑑賞。何とナルシスティックな・・・、そして「愛と死」がテーマになっているとはいえ何と美しいことか・・・。一同ため息をつきながら全編を堪能した。

次回の講座はフランス音楽である。そう、ラヴェル。具体的にどの楽曲を採り上げるのかはまだ決めていない。また楽しい会になるだろう。参加ご希望の方はお早めにご予約ください。

朝比奈先生のベートーヴェン全集(DVD)2種が手に入った。かつてLDで出ていた新日本フィルとのツィクルス。そう、実相時昭雄監督のあの名作だ。そして、いつものように某制作会社に勤める友人が「最後のベートーヴェン交響曲全集」をプレゼントしてくれた。結局まだ買わず仕舞いでいたあのDVDだ。嬉しい。とにかくありがたい。

僕が朝比奈先生のベートーヴェンに初めて触れたのは1988年12月のサントリーホールでの第9ライブ。その映像がDVDでやっと陽の目を見たのだ(LDの映像は1日違いのものだった)。まだ全部を観てはいないが、第1楽章冒頭の部分、第3楽章の冒頭だけを少し観てみた。あの時の朝比奈隆のベートーヴェンである。悠揚迫らぬスローテンポ。僕はいまだに先生のベートーヴェンの最高傑作はこの新日本フィルとのツィクルスだと信じて疑わない。そのことはこのDVDを観てさらに確信できた。ともかく最高である。

ベートーヴェン:交響曲全集(実相時昭雄監督)
朝比奈隆指揮新日本フィルハーモニー交響楽団(DVD)

8 COMMENTS

雅之

こんばんは。
「潮騒」と「ダフニスとクロエ」、虚弱体質のコンプレックス由来からのダンディズム志向、男色、仮面性・・・、三島由紀夫とラヴェルには共通点が多いと、昔から感じています。そのあたりも、今後岡本さんと追究してみたいですね。
実相時昭雄監督の映像美学と三島作品も相性が良さそうだったので、映像作品が残っていないのが残念です。
朝比奈先生の「最後のベートーヴェン交響曲全集」の新DVDは、私も入手したいところです。私も「先生のベートーヴェンの最高傑作はこの新日本フィルとのツィクルス」だと思います。
ところで、放送業界に顔の利く岡本さんにご相談なんですが、「本編監督・実相寺昭雄、脚本・佐々木守と、異色作で人気のあるコンビによって制作され、本放送では32.8%と全49話中第4位の高視聴率をマーク」(Wikipedia)したにもかかわらず、ある理由により現在「欠番」扱いになっている、『ウルトラセブン』第12話「遊星より愛をこめて」の映像、お友達に頼んで、何とか入手できませんか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E6%98%9F%E4%BA%BA
この20年くらい、一度でいいから観たくて堪らないのですが・・・(ここでは差し障りがあるでしょから、明確なご回答はまたお会いした時にでも・・・)。
なお、実相時昭雄監督作品、前にもコメントで少し触れました、『ウルトラマンティガ』(1997)第37話「花」と、第40話「夢」は、DVD等でぜひ一度ご覧になってみてください。「これが実相時美学だ」という傑作に仕上がっていまして、昔、本放送を幼かった息子と観ていて驚きました。

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雅之

私も岡本さんも、×実相時(〇実相寺)と、一部でタイプミスしちゃいましたね(笑)。
実相寺監督による三島由紀夫原作の映像作品って、本当に無いんでしたっけ?

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みほ

岡ちゃん、今日も有難うございました!
私は3回目の参加、主人(!)は初めての参加でした。
とても面白かったと言っていました。
ベートーベンの「運命」のダダダダ~ン♪が、まさかパンチの音だったとは!
幼少期に虐待を受けていたことや、歴史的背景を知るということがとても新鮮だったとのことです。
どんなことに置いても背景を知ること(知ろうとする姿勢)は、
物事や人を理解するために必要なことだと、改めて思いました。
また、今回は懇親会にも参加させていただき、ありがとうございました!
大豆ミート、最高でした。
今度お料理の仕方を教えていただくのが楽しみです。
まさか三島由紀夫の貴重なDVDを見ることになるとは思ってもいなくて、
ビックリです!
でも、このサロンの良いところですね!
ロックも最高でした。
その時の参加者と対話し、瞬間を捉えて広がっていくこの講座は
本当に楽しいです。
主人は、ショパンの革命があればうれしいなと言っていました。
また参加させてくださいね!
今後ともよろしくお願いいたします。
ご馳走様でした!

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岡本 浩和

>雅之様
以前もコメントいただいた三島とラヴェルですね。確かに追究しがいはあるかもしれません。実相寺監督の三島作品というのは僕も知らないですねぇ。ひょっとするとあるのかもしれませんが・・・。
ウルトラセブン第12話!!
これはですね、僕も観たくて堪らない作品です。ただ、僕の周りでこれを所有している輩がいるかどうか・・・。ちょっと頭に入れておきます。
>『ウルトラマンティガ』(1997)第37話「花」と、第40話「夢」
これは観ないとですね。息子さんと観ていて驚かれたというくらいですから余程でしょうね。楽しみです。

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岡本 浩和

>みほ
こちらこそ昨日はありがとう。旦那さんにも喜んでもらえてよかったです。ああやって、楽しく語りながら音楽を聴くっていうのも乙なもんだよね。
実は講座後の懇親会のほうが盛り上がるのです。
僕もまさか「憂国」を観る羽目になるとは思ってもいませんでした(笑)。
ショパンはいずれまた採り上げると思います。
またよろしくです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
驚きです。
ついに観た!
という感じですが、噂通りなぜこれが永久欠番なのか理解できませんね。
しかし、ご紹介ありがとうございます。

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アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » 朝比奈&実相寺のブルックナー選集

[…] 久しぶりに朝比奈隆の指揮姿を観た。 20数年前、新日本フィルハーモニーとのベートーヴェン・ツィクルスを皮切りに御大はブラームス・ツィクルスにも挑み、そしてその後のブルックナー選集に続く。いずれも実相寺昭雄監督によって映像として残され、今ではDVDでその全貌を知ることができる。 当時はまだ朝比奈人気は晩年のチケット争奪戦を繰り広げる彼の様相にまで至っておらず、意外に楽に券がとれたと記憶する。幸いにも僕はそのすべてを実際にこの目で確かめることができた。あの時代の、あの時の空気感まで含めて鮮明に記憶の中に残る。朝比奈先生は例えばベートーヴェン全集は合計7種もリリースしているし、東京でもツィクルスは3回開催され、そのすべてをやはり体感しているけれど、1988年末から89年春にかけて行われた新日本フィルとのものが少なくとも僕が聴き得た古今東西の指揮者のモノの中でも随一だと推す。とにかく80代前半のマエストロは心身ともに最も充実していたのだろう。指揮姿、音楽、すべてから生気が漲る最高のパフォーマンスを追想できることに感謝したい。 […]

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