Live Under the Sky

vsop_the_quintet_79.jpg高校に入学したばかりの頃、中学時代はそこそこ勉強ができたという自負もあってか、何とか余裕でやっていけるだろうと思っていたのも束の間、最初の実力テストで鼻っ柱をへし折られた。数学についてはできると信じていたが、それは勘違いだった。ともかく全くわからない。自分でも唖然とするほどできなかった。数日後答案が返ってきた時、愕然とした。それまでに見たことがない点数。100点満点で確か6点だったか・・・。恥をさらすようで情けないが、それ以降、僕の数学苦手意識が一層強まった。

人間の感覚というのは面白いもので、一旦駄目だと思い込むとまったく理解できなくなる。授業についていくどころか、月日を経るにつれどんどん置いてけぼりにされる、そんな感覚に陥った。高校3年間で、数学の授業ほど僕にとって最悪の時間はなかったと言って良い。それがゆえ、当然大学進学は文系にしたし、数学を選択しなくて済むような大学を選んで志願した。僕が論理的思考力に少々欠けるのは、ティーンエイジャーの大事な時期に数学的思考というものを放棄したからだろうと今になってわかる。

ひょっとすると「楽器ができない、音楽が苦手だ」などという意識が潜在的に植え付けられたのはその頃の体験が影響を与えているのかもしれない。確かに音楽を「聴く」という行為は飛び切り好きなのだが、演奏するとなると途端に腰が引ける。

昨日、ポジティブ心理学カウンセラー養成コース全9回が修了した。認定試験まで受けたが、結果や、いかに・・・?
実践的な意味において、20年近く人間教育には携わってきたものの、カウンセリングとはそもそも何ぞやという観点ではほとんど勉強してこなかったものだからこの3ヶ月とても勉強になった。あとは、これまで以上に実地で経験を積んでいくことだろう。ともかく一人でも多くの人に対峙し、一人でも多くの方のお役に立てるようがんばることだ。

晴香先生からも「楽器を始められるといいんじゃないですか」というアドバイスを受けた。ウクレレかフルートがいいんじゃないかと・・・。「フルートですか?!」と仰け反った(先日もご指摘を受けていたから)(笑)四の五の言わず「やれ!」ということでしょうか・・・。

それにしてもパラグアイ戦は惜しかった。昨晩、固唾をのんで最後まで見守ったが、悔しい。とはいえ、とても刺激的で素晴らしいゲームを見せてくれたのだから、これはこれで良かったんだと思う。よくがんばったで賞ということで、1979年7月、雨の田園コロシアムでの伝説的ジャズ・ライブを。

V.S.O.P.The Quintet:Live Under the Sky ’79(1979.7.26東京、田園コロシアム)

Personnel
Herbie
Hancock (pf)
Wayne Shorter (sax)
Freddie Hubbard (tp)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

“Eye of the Hurricane”(台風の目)に始まり、”Teardrop”(落涙)、”Domo”(どうも)、”Para Oriente”(東洋のために)と続くセットリストは、何だかサッカー日本代表の健闘を讃えているかのようだ。それにしても奇跡的なメンバーが揃ったものだ。雨が吹きすさぶ中、聴衆は誰一人として傘をささず熱狂したといわれるこの日のコンサートについては、音盤を聴いているだけで「凄味」が伝わってくる。

※この日はちょうど僕が高校に入って数学で苦悩していた頃・・・(汗)。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
どんな分野においても、論理的思考は情緒的思考と同じくらい大切ですよ。「勝利の方程式」なんて言葉も世の中にはありますしね(笑)。また、数学は宇宙人と初めて交信する際の、唯一の言葉になるかもしれません。私も同じく文系ですが、文系だからこそ、数学や科学の神秘には興味が尽きないのです。趣味だからこそ、音楽の奥深さに興味が尽きないのと同じです。先日の(6月26日付ブログ本文への)コメントでも話題にしましたとおり、芸術での霊感と、数学や科学でのインスピレーションは、案外物凄く近いところにあります。
苦手意識は、限られた人生における、最大のチャンス喪失にもつながるでしょう。
>「楽器を始められるといいんじゃないですか」というアドバイスを受けた。ウクレレかフルートがいいんじゃないかと・・・。
私がおススメしたとおりでしょ(笑)。やはり他の方の目も同じなんですね。岡本さんの純粋な性格からいっても、姿からしても、特にフルートを吹く岡本さんは、実に美しく絵になります。
先日、ピアニストの小原孝氏がFMの番組で、ギタリストだった亡き父親について「父の日特集」で語っていて、思わずジンと来てしまったのですが、ギターの良さについて、
「ピアノはピアノのある所でしか弾けないが、ギターはどこにでも持っていって取り出して弾くことができる。そんなギターに、父は魅かれたんだと思う」
といったことを話していて、なるほどなと思いました。フルートなどは、ギターよりも更に持ち運びにも本当に便利だし、楽器を眺めるだけでも美しいし、いいことずくめじゃあないでしょうか。
ウクレレもいいですが、弦楽器なら、やはり小原孝氏の言うとおり、ギターでしょう。
例えば、岡本さんがギターでショパンのノクターンを、奥様がピアノでタレガの「アルハンブラの思い出」を弾くなんて、想像しただけで最高に感動的で絵になるし、カッコいいです(まず、そういうご自分の姿を、想像されるべきです・・・笑)。
KAARE NORGE – CHOPIN NOCTURNE Opus.9. No.2. (ギター演奏)
http://www.youtube.com/watch?v=c8X2jyoW0Fg&feature=related
Recuerdos de la Alhambra (ピアノ演奏)
http://www.youtube.com/watch?v=oOwv-4gCBmA&feature=related
>”Eye of the Hurricane”(台風の目)に始まり、”Teardrop”(落涙)、”Domo”(どうも)、”Para Oriente”(東洋のために)と続くセットリストは、何だかサッカー日本代表の健闘を讃えているかのようだ。
なるほどです! この音盤、存在は知っておりますが所有しておりませんので残念ながら語れません。機会があれば、このことを思い出して聴いてみたいです。
岡田ジャパン、残念でしたが、大健闘でしたね。
ワールドカップをテレビで観戦していても想うのは、つくづく人生とは、「陽極まれば陰生ず、陰極まれば陽生ず」だという現実です。
岡田ジャパンも、本大会前のぶざまな連敗や、まずい試合運びが続いたからこそ、本大会ではその経験、反省を生かし、チームが一体になり、輝けたんだと思います。
「陰」から逃げたり避けたりするのではなく、むしろ、積極的に「陰」に飛び込む勇気が、何事も人生では大切ですね。
重要なのは、数少ない「陽極まるチャンス」を、最も的確な時期に持っていけるような訓練を、日頃から意識し実行することでしょうね。「練習やリハーサルでは絶好調だっのに、本番では散々」、経験上これほど残念なことはありませんので(笑)、そうならないように、日々鍛錬です!!

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>芸術での霊感と、数学や科学でのインスピレーションは、案外物凄く近いところにあります。
おっしゃるとおりですよね。
僕も随分大人になってから、数学の重要性、というか数学がすべての根本につながっていることがわかりまして、どうしても理解できるようにならなきゃいけないことに気づきました。
>苦手意識は、限られた人生における、最大のチャンス喪失にもつながるでしょう。
そうですよね。数学についても少し勉強してみようかと思います。
>特にフルートを吹く岡本さんは、実に美しく絵になります。
>フルートなどは、ギターよりも更に持ち運びにも本当に便利だし、楽器を眺めるだけでも美しいし、いいことずくめじゃあないでしょうか。
なるほど!
ノクターンのギター版はともかく、アルハンブラのピアノ版っていいですね!こんなのがあるとは初めて知りました!
>「陰」から逃げたり避けたりするのではなく、むしろ、積極的に「陰」に飛び込む勇気が、何事も人生では大切ですね。
重要なのは、数少ない「陽極まるチャンス」を、最も的確な時期に持っていけるような訓練を、日頃から意識し実行することでしょうね。
良い言葉です!!ありがとうございます。

返信する
アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » 全体観と複雑性理解力~Miles In The Sky

[…] V.S.O.P.クインテットの原点であり、マイルスがひとつの壁を乗り越えた地点。 歴史というのは面白いもので、何十年も経過した後に真の意味がやっと一般大衆に到達する。ともかく人は「変化」を怖れる生物である。できるなら現状維持を貫く方が楽だと考える(周囲は少しずつだけれど確実に変わって行っているのに)。 […]

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む