やれるもんなら、やってごらん

emerson_lake_&_palmer_trilogy.jpg先日のブログ・コメントで「善くも悪くも、どうしようもなく思考回路が情緒的、非論理的で、イコール日本人的」というご指摘を受けた。昔から国語の成績が極めて劣っていたというわけではないが、確かに僕の「思考回路」が「非論理的」であることは間違いない。

来週、神奈川のとある大学の夏期講座で「基礎学力文章力講座」の授業を担当する。3クラス計8コマを受け持つのだが、予習のためにテキストを見てみて吃驚。論理的な文章をいかに書けるようになるかが大きなテーマだが、自分の伝えたいことを説得力を持って述べるためには、自分の意見を支えるための具体的な「材料」(すなわち具体的データや客観的事実など)が必要であること、なぜ自分がそう考えるかを説明するときには、自分の気持や感情よりも、誰が見ても同じである、客観的なデータや事実を元に述べなければならないなど、を教授するよう指示されている。

強いて言うなら僕に足りないのが、自分の意見を支えるための具体的な「材料」の発掘である。そんなことを僕が教えられるのか??とも思ったが、受けた以上は仕方がない(というかやるしかない)。これは学生に教えるというより、自分の勉強ということで、テキストを貪るように読んで予習した(笑)。いやいや、天は必要なときに必要なものを与えてくださります・・・。

本や新聞を隈なく読みこなす力量も大切だが、一を知って十を知る知恵が重要だ。それと必要なデータがどこにあるのかを知っているということ、あるいはそういうことを察知する嗅覚も重要だろう。いずれにせよ、左脳と右脳の両方を駆使して事に当たらねばならない。当たり前のことだが、実にこれが難しい。

先日から吉松隆氏編曲によるEmerson, Lake & Palmerの”Tarkus”が話題に上る。ここ数年はすっかり忘れてしまっていたスーパー・バンドだが、25年ほど前に毎日のように繰り返し聴いていたからとても懐かしい。僕が最初に度肝を抜かれたのが、ご多分にもれず「展覧会の絵」だが、いわゆるオリジナル・スタジオ・アルバムで最初に聴いたのは”Trilogy”。これがまた本当にかっこいい!!1曲目の「永遠の謎」は間に「フーガ」を挟む3部構成で、序奏のところからぐいぐい引き込まれる。それに、ライブのステージで有名になったコープランド作の「ホウダウン」(これは例の有名な3枚組のライブ盤に収録されている演奏のほうがより勢いがあり、僕はやっぱりライブのほうが好き)は原曲以上の「輝き」を放つ。そして何と言っても「奈落のボレロ」!!構成はほぼラヴェルのそれを擬えるが、かの有名な「ボレロ」に優るとも劣らぬ刺激。息つく間もなく40数分が過ぎてゆく。

Emerson, Lake & Palmer:Trilogy

作曲、いや編曲という行為は右脳と左脳の両方を駆使せねばできない行為だろうな。
吉松先生はご自身のブログで「やれるもんなら、やってごらん」と書かれていたが、確かに誰にでもできる軽業じゃない。早く聴かなきゃ!


8 COMMENTS

ふみ

おはようございます。
>昔から国語の成績が極めて劣っていたというわけではないが
情緒的、非論理的だと国語は成績良いもんではないですか?僕も岡本さんと似通った頭だとは思いますが国語は幼稚園の時から勉強せずとも出来ました。大学受験の際も国語は現代文に関しては1分も勉強しませんでした。あんなの感覚だと未だに思います。で、その分世界史にのめり込んでいったんですが(笑)
まぁ、あくまで大雑把な捉え方なので例外はありますが恐らく情緒的、非論理的な頭の持ち主は数学と理科が駄目なんではないでしょうか。理数系の友人なんて機械人間みたいですよ(笑)彼は国語がいくら勉強してもセンターでも7割くらいしか取れなかったそうです。

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雅之

おはようございます。
「論理的」っていうのは、理系・文系とは全然関係ないです。思考に整合性があるかどうかだけの話ですから・・・。
「論理的」とはまた、「AとかけてBととく、そのこころはC」という「なぞかけ」みたいなものだとも思います。一見全然関係のないものを理屈で整合性を持たせてつなぎ合わせることのできるセンス、これこそまさに「論理的思考」の醍醐味です。
(↓下サイトより)
http://www.uhb.co.jp/an/nazokake/what.html
「鉛筆」とかけて
「更生してまじめに働く元不良」ととく
 そのこころは
「最初は尖がってたけど、働いているうちに随分丸くなりましたぁ」
(↓下サイトより)
http://www.melma.com/backnumber_124771_3183743/ 
「ジャズの演奏」とかけて
「おにぎり」ととく
 そのこころは
「うまいのはノリもいい。」 
「ビートルズの分類」とかけて
「赤ん坊」ととく
 そのこころは
「ロッカーに入れるべきではないと思うのですが・・・。」
「初心者向けのクラシックの解説」とかけて
「松坂、上原、井川」ととく
 そのこころは
「あんまりメジャーとかマイナーとか言ってほしくないな。」 
どれもホントに上手いです!! 座布団10枚です!!
君も、
>「やれるもんなら、やってごらん」
いや、「言うは易く行うは難し」です(笑)。
何事も・・・。

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岡本 浩和

>ふみ君
雅之さんが言うように、文系理系はあんまり関係ないと僕も思います。
ただし、
>恐らく情緒的、非論理的な頭の持ち主は数学と理科が駄目なんではないでしょうか。
という意見は確かにそういう気もします。僕も高校のとき数学と物理は全くダメだったから。でもね・・・、最近になって思うのは、きちっと良い先生について正しく勉強すると数学も物理もわかってしまうかも、という気がしているのです。
中世以前の学問では、音楽は数学、物理学などと同様必須の学問だったでしょ。つながってるんだよね。音楽も数学も論理的思考と情緒的フィーリングの両方を要求される「学問」かも、って思います。
今文章書いてて思うけど、やっぱり情緒的だよねぇ(苦笑)。
まぁ、癖のようなもんですか!

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>一見全然関係のないものを理屈で整合性を持たせてつなぎ合わせることのできるセンス、これこそまさに「論理的思考」の醍醐味です。
なるほど。
そっか、「なぞかけ」ですか!
この練習をすれば少しは論理的思考も身につきますね。

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neoros2019

先週、アマゾンで紙ジャケのCDを発注したら翌日受け取れました
トリロジーの出だしのピアノソロは始めて聴いたときから耳に焼きついたものです

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岡本 浩和

>neoros2019様
紙ジャケいいですね。EL&Pに限らずですが、アナログ盤を緻密に復刻したこの企画は最高だと思います。
もちろん「トリロジー」は音楽も最高ですが。

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