信仰と理性というかつての配偶者たちは、彼らの結婚生活が波乱万丈だったにもかかわらず、復縁する可能性を夢見ずにはいられない。理性はきっと地球を変容させられるだろう—もし、科学と技術が新しいグローバルな道徳によって鼓舞され、導かれさえするならば。信仰はきっと世界に広まり、成熟するだろう—もし、世界の諸々の宗教が社会と自然の長期的な動向に真摯に立ち向かい、グローバルな道徳の創造に一役買いさえすれば。そして—信仰と理性の分裂は一人一人の人間も分裂させているがゆえに—私たちは他者に対してもっと愛情深く有用な存在になり、自分自身にもっと満足するようになれるだろう—もし、私たちが信仰と理性という人間の根本的側面を調和させることができさえすれば。
~リチャード・E.ルーベンスタイン著/小沢千重子訳「中世の覚醒―アリストテレス再発見から知の革命へ」(紀伊國屋書店)P443-444
分断された意識の絆を統合することは、今の時代ならば決して難しいことではないだろう。
各々の脳を開くことだ。音楽こそ媒介としての大きな一役を担うのではなかろうか。
何百年という歴史の中で生き残る音楽たち。
元々キリスト教を背景に生み出された音楽は、本来信仰と理性を調和させるべく存在するものなのだと僕は思う。
リオネル・パワー:ミサ曲とモテット集
・3声のモテット「幸いなるかな天の女王」OH43
・5声の「グローリア」OH21
・3声のモテット「祝せられた胎よ」
・2声から5声の「クレド」OH77
・4声の「サンクトゥス」OH118
・4声の「アニュス・デイ」OH141
・3声のモテット「サルヴェ・レジナ」
・ミサ曲 「救い主のうるわしき母」
・3声のモテット「イボ・ミチ・アド・モンテム」
・3声のモテット「愛する者よ、あなたはすべてに美しい」
ヒリヤード・アンサンブル(1980.9.8-11録音)
時計の針を600年ほど巻き戻したイングランドの音楽は、大陸のそれに優るとも劣らぬ力強さが内在する。ミサ曲「救い主のうるわしき母」、なかでも第4曲「アニュス・デイ」の崇高な美しさ。こういうものが、長い時間をかけて(不毛といわれる時代を超え)熟成され、エルガーのあの「ゲロンティアスの夢」につながったのだろうか。
真理は言語化不能。
ただ、美しき音の洪水に身を浸し、酷暑を耐えるべし。
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