愉快なひとときを過ごした。渋谷で酒を酌み交わしたのだが、ご好意でいただいた焼酎のボトル(麦製天草)を水割りで美味しく飲み干す。不思議なことに焼酎が身体に染みるとアルゲリッチの音楽を聴きたくなる。おそらくアルゲリッチのじゃじゃ馬的な「何か」を連想させてくれるのだろう(笑)。
それにしても、今日も男と女の話に終始したが、やっぱり男女は異星人である。どこまでいっても平行線で生涯わかりあうことのない妙な関係でありながら結局添い遂げてしまう因縁に基づいた関係。人生が牢獄であり、修行のために生まれてきたと仮定するなら恋愛や結婚こそが最も厳しい現実なのだろうとふと考える。とはいえ、そういう僕はとても幸せなのだが・・・(笑)。
先日第10回ショパン国際コンクールの模様のいくつかをDVDで観たことは書いた。おそらくその年のオープニング・ライブだと思うのだが、棚の奥にしまってあったアルゲリッチの協奏曲録音を久しぶりにとり出して聴いてみた。
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
カジミシュ・コルド指揮国立ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団(1980.10.1Live)
アルゲリッチの十八番。同じ年のコンドラシンとのライブ録音、そして少し前のデュトワとのスタジオ録音、あるいはアバドとの最新盤(といってももう10年以上前だが)、いずれもが名演奏であり、どれも捨てがたい。しかし、その3つの演奏以上に過激で神懸り的な演奏がこのコルドとのワルシャワ・ライブ。終演後の聴衆の爆発的な拍手喝采を聴くまでもなく、マルタの最高傑作ではないかとも思えるほどのプレイが繰り広げられる。
問題になったポゴレリッチの予選落ちにしても、当時その場で実演を聴いたオーディエンスの大半はどうやらポゴレリッチを支持したようだから、素人とはいえ、やはり音楽好きの一般大衆の耳は極めて正しいのだと心底思う。
ところで、今日はさらにもう一枚アルゲリッチのCDを聴いた。
シューマン:幻想曲ハ長調作品17&幻想小曲集作品12
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
もう唖然とするほどの技巧と精神性。幻想曲の第2曲、そして幻想小曲集からの「夕べに」。かのバックハウスに優るとも劣らない表現力。人生最後の輝きを放つ老練の響きを持つバックハウスに対して、あくまで若々しく希望に満ちた創造。素晴らしい!
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[…] アルゲリッチがアバド指揮ベルリン・フィルをバックに録音したチャイコフスキーのピアノ協奏曲。正直演奏は、1980年のキリル・コンドラシンやカジミシュ・コルドとのものの方が白熱している。終楽章コーダの火花散る激烈アッチェレランドもあちらの方が上。 しかしながら、この演奏の素晴らしいところは、ライブ録音でありながら、恐るべき安定度を保ち、しかも相応の即興的チャレンジも垣間見せつついわゆるアルゲリッチ節を思う存分堪能できるところ。 […]