ブラッド・メルドー in Japan 2019 トリオ コンサート

ジャズの持つ空気感が僕は好きだ。
あの自由闊達な、同時に革新的なやりとりが僕は好きだ。
プレイヤーの集中力はもちろんだが、聴衆の恐るべき集中力にさえ畏怖を覚えた。
誰もがこのトリオのライヴを心待ちにしていたことが手にとるようにわかるから。彼らの演奏は、冒頭から奔った。強烈な熱を帯び、ソロもインタープレイも、一分の隙もない一期一会。何よりブラッド・メルドーのピアノから湧き立つ抒情。
楽器というものを超えたまるで天の声。ああいう音色はどうやったら出せるのだろう?(特にリズム隊が熱狂的な楽の音を創造する中に、メルドーのピアノが入り込む瞬間の奇蹟のような清澄な音!僕の座席からは確認不可能だったのだが、例のグレン・グールド張りに低い椅子からの打鍵の影響もあるのだろうか)

実に落ち着いた、洗練された90分。
大きなホールとはいえ、宙に拡がる音の質は、言葉にならぬほど刺激的で直接的。本編7曲70分、そしてアンコールに3曲20分という布陣。長からず短からず、否、もう少しあっても良いだろうと思わせるくらいの絶妙なプログラミング。それに、毎日セットリストが変わるという期待。それだけに、聴衆に相当な集中力を要求する(実際、ある意味とても疲れた)。

生のブラッド・メルドーは確かに凄かった。本人による曲間のMCは丁寧かつ必要最小限(彼の声がまたジェントルでとてもいかす)。何より奏でられる音楽から放出されるエネルギーは、遠心力×求心力ともいうべき文字通り特別な三位一体の成せる業。そもそもメルドーの腕は一体何本あるのかと思わせるパフォーマンス。佐藤英輔氏の「右手と左手の斬新な噛み合わせが導く、清新にして自由なハーモニーやメロディ感覚や揺らぎ」という言葉通り、左手と右手の境界線すら感じさせない驚異の腕使い(?)。そこに絡むラリー・グレナディアのベースは終始温かみを帯び(猛烈なスピード感とアルコでの深みのある幽玄な音色が素晴らしかった)、ジェフ・バラードの怒涛のドラミングは、あるときは地を這い、天を駆ける勢いで(ソロの圧倒的パワー)、またあるときは愛で、撫でるように囁き、優しかった。

ブラッド・メルドー in Japan 2019
トリオ コンサート
2019年6月1日(土)15時開演
東京国際フォーラム ホールC
ブラッド・メルドー(ピアノ)
ラリー・グレナディア(ベース)
ジェフ・バラード(ドラムス)

三者の音は分離良く、美しい音が東京国際フォーラムホールCの大きな空間をいっぱいにした。ひたすら彼らの演奏とその創造物(音楽)に集中していると、あっという間に時が過ぎてゆく。Cole Porterの”From This Moment On”やアンコールで奏された”Secret Love”(Sammy Fain)など、バラードはすべて涙もの。MC後、5曲目に奏されたメルドー自作の”Backyard”も素晴らしかった。
明後日はいよいよソロ・コンサート。どんな豊かな一夜になるのだろう。

なお、セットリストは情報が更新され次第掲載する。

※追記
Set List ※Facebookページより引用
・Sehnsucht (B.Mehldau)
・Gentle John (B.Mehldau)
・Bee Blues (B.Mehldau)
MC
 ・Inchworm (F.Loesser)
・Backyard (B.Mehldau)
MC
・From This Moment On (C.Porter)
・When I Fall in Love (V.Young/E.Heyman)
Encore
・Tenderly (W.Gross)
MC
・Secret Love (S.Fain/P.F.Webster)
 ・Long Ago and Far Away (J.Kern, I.Gershwin)

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