哀愁のエルガー

elgar_dupre.jpgここのところGCDFの継続学習のための講座が続く。キャリア・カウンセリングの第一人者である筑波大学の渡辺三枝子先生による講義だったので期待していったのだが、それなりの内容。さすがに2時間ほどの講演会スタイルで、費用も¥3,000だったゆえ200名ほどの会場が満席になり、熱気ムンムンだったが、会の最中はちらほらといびきも聞こえてきたぐらいだから中身は推して知るべし。
講座タイトルは「大学と企業をつなぐキャリアコンサルタントの役割、そして目指すもの」。ともかく20数年前に受けた大学の一般教養の授業を思い出した。先生のほぼ一方通行のお話と最後の15分ほどで質疑応答という常套スタイル。資格更新のために継続学習が課されているから仕方なく参加している人たちも多いと思うし、主催したNPOキャリアカウンセリング協会も何だか事務的にこなしているような様子でどうもこの資格自体がある意味形骸化しているのではないかという疑問まで出てくる。確かにキャリアコンサルタント(カウンセラー)という仕事自体あってないようなものだし、こういう資格もどちらかというと臨床経験がものをいう世界だと思うので、こんなものなのかなぁと思いつつも、2時間ほど無駄にしたという感覚もついてまわるから空しい気分になってしまった。

早朝、早起きしIさんにお借りしていたエリエス・ブック・コンサルティング土井代表のCD一式をお返しする。帰宅後(7:30頃)シャワーを浴び、チベット体操をした後週末の講座の資料作り。早起きすると1日が相当長い。午前中だけでほぼレジュメが完成したから、あとは内容を充実させるべく話の大枠をしっかりと決めるだけ。昨日に引き続き「ジュピター」のCDを幾つか聴き(ヨッフム&ACO盤、シューリヒト&VPO盤、バーンスタイン&VPO盤)、「ジュピター音型」をもつモーツァルトの楽曲を俯瞰し(交響曲K.16、K.45b、ミサ・ブレヴィスK.192、交響曲第33番)、ポイントだけチェックのため聴き通した。この作業だけでも相当な疲れ(笑)。ともかくこの天才の晩年のいわゆる三大交響曲はバッハの無伴奏モノ同様人間が創造したとは思えない代物で、通して聴いてみると3部作というのが必然なのだと納得できる。

エルガー:チェロ協奏曲ホ短調作品85
ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)
サー・ジョン・バルビローリ指揮ロンドン交響楽団

いつだったか「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」という映画が上映され、その内容が物議を醸した。42歳という若さで多発性硬化症のため亡くなったデュ・プレがアダルト・チルドレンだったという衝撃的内容。僕自身もこれまでセミナーを通して何千人もの人間と対峙してきたからわかるのだが、人間にとって幼少時の親のストローク(愛情の受け渡し)がいかに大事かが映画を通してとてもよく理解できる。おそらく当時の夫であったダニエル・バレンボイムも最後は手を焼き、どうしようもないところまで追い詰められていたのではないかと想像できる。しかしながら、幸か不幸か27歳の時に発病した病気により二人は逆に「愛を確かめ合う」ことができ、ジャッキーも幸せな余生を送れたのではないかと思う。
それにしてもこのエルガーはデュ・プレのトレード・マークと言っていいほど見事にツボにはまっている。以前彼女がバレンボイムの伴奏でこの曲を弾く映像を観たことがあるが本当に素晴らしい。第1楽章冒頭の哀感漂う感傷的なチェロ独奏が紡ぎ出すメロディは感涙モノ。マイスキー盤も所持するが大人と子どもほども格が違う。

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