肝腎要

peter_gabriel_2.jpg内臓の中での肝臓と腎臓というのは特に重要な役割を果たしているのだと。それとやっぱり「冷え」に気をつけないと。断酒を決行してから本日でわずか3日に過ぎないが、心身の調子が頗る良い。身体も楽なのだが、心が落ち着いてとても静かになれる。「いっそのこと止めてしまおうか」と思ったりもするが、そういうわけにもいかないので、ストレスないところまでともかく続けてみよう。

Peter Gabrielのプロデュースするアラブ~アフリカ音楽を聴いた流れで、彼の初期のアルバムを取り出した。Gabrielの場合、3枚目あたりから俄然第三世界の音楽からの影響が顕わになるが、Robert Frippがプロデュースしたこの2枚目は、スノッブで流れるようなメロディライン(これはGabrielのもの)とメタルでソリッドな印象を与える音(こちらはFrippの性質かな)が入り混じり、いかにもKing Crimson的な作りになっているのが特長。笑ってしまうほどFrippらしい方法論で、Frippにとっては明らかに70年代Crimsonと80年代Crimsonを結びつける過渡的な位置にある作品なのである。本人の”Exposure”、そしてDaryl Hallの”Sacred Songs”とあわせ、当時Frippの3部作として発表された1枚だが、どれもがRobert Frippとその仲間たちという名義にしてもおかしくない。良くも悪くもFripp教信者のための作品ということかな・・・。よって、Gabrielが以降Frippにプロデュースを依頼しなかったことも、Hallのソロ第1作が当時レーベルによってリリースがしばらく見送られ、2年後になってようやく発表されたということもよく理解できる。


繰り返し何度も聴くのは実に気が重いのだが、久しぶりに一聴入魂的に対峙してみると極めて高い芸術的センスに圧倒され、洗脳されそうな心持になる(笑)。

Peter Gabriel

Personnel
Peter Gabriel(vocals, organ, piano, synthesizer)
Tony Levin(bass guitar, Chapman stick, string bass, recorder arrangements, backing vocals)
Sid McGinnis(electric guitar, acoustic guitar, steel guitar, mandolin, backing vocals)
Larry Fast(synthesizer and treatments)
Robert Fripp(electric guitar, acoustic guitar, Frippertronics)
Bayete(keyboards)
Roy Bittan(keyboards)
Jerry Marotta(drums, backing vocals)
Tim Capello(saxophone)
George Marge(recorders)
John Tims(insects)

見よ、このバンドの布陣を!!!錚々たる面子が脇を固め、一切の隙を与えない。そうか・・・、遊びの部分、のりしろがないから疲れるんだ、このアルバムは・・・。ひょっとするとダニエル・ラノワか誰かに再プロデュースしてもらって化粧の施しを変えたら、もっとポピュラーになるのかも。

嗜好品をなるべく控えてみると、「自然」な自分がむっくりと頭をもたげる。そう、子どものような純粋な感覚が蘇るのである。自分にとって「始まり」って何だったんだろう・・・。


5 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介のPeter Gabrielのアルバムあたりは、今までまったく私の守備範囲外で、聴いたことがありませんが、それまで何に自分の限られた時間を費やしてきたかを考えると、ちっとも恥ずかしくないです。これから岡本さんのブログをきっかけに学べばいいだけのことですから(笑)。
Peter Gabrielも、Robert Frippとか、ワールド・ミュージックとか、そういう他者や多文化と交流することによる化学反応を実験してみたかったんでしょうね。自分の殻を破り、新たなステージに進むために・・・。
私も愛聴していた”The Stanley Clarke Band and Hiromi”(超お薦め盤)
http://www.amazon.co.jp/Stanley-Clarke-Band-Hiromi/dp/B003HLT0CI/ref=pd_sim_m_5
でグラミー賞を受賞したジャズピアニスト、上原ひろみさん(31)の、2月16日付朝日新聞「ひと」でのインタビュー記事に、少し嬉しくなりました。 
 
・・・・・・欧州、米国、日本、そしてカナダと、週替わりに移動するツアーの真っ最中に受賞の知らせを聞いた。それから携帯電話が鳴りっぱなし。
「振動音が『オメデトウ』って聞こえる気がする。出会いのすべてに感謝したい」
「スタンリー・クラーク・バンド」との作品が米グラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞を受賞した。名ベーシストとの共演。「スタンリーの描きたい絵のパレット一色になろうと心がけた」という。聴く者に心の闇をのぞき込ませるような自作曲「ラビリンス」も収録。「迷路を抜け出したいのか、迷いたいのか。そんな深層心理を音にした」
 8歳の時、ピアノの先生が持っていたオスカー・ピーターソンのレコードを聴き、即興演奏の面白さに心奪われた。だが、自分がジャズミュージシャンだと意識したことは一度もない。「大切なのは、表現する世界観。ジャズだとかジャズじゃないとか、好きに呼んでくれればいい」。日本人だということも「あえて伝える必要がない」。
 ライヴの後、さっきまでの熱気がうそのような静寂に包まれた舞台にたたずむのが好きだ。受賞後もツアーは続く。来月にはピアノトリオでの新譜「ヴォイス」を出す。
 「寅さんみたいに出会いと別れを繰り返し、人の気持ちに敏感になる。それが作曲、演奏のエネルギーになる。ひろみはつらいよ、です」・・・・・・文・寺下真理加
私の2月8日付コメント
http://classic.opus-3.net/blog/cat29/post-686/index.php#comment-4555
としっかりシンクロしていて、我ながら、自分の感性の確かさ、筋の良さは、大したものだと自画自賛しております、はい(笑)。
Peter Gabrielも、きっと、
「Robert Frippの描きたい絵のパレット一色になろうと心がけた」
「寅さんみたいに出会いと別れを繰り返し、人の気持ちに敏感になる。それがエネルギーになる。Peter Gabrielもつらいよ、です」かな?(笑)

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雅之

また訂正です。仕事前の限られた時間にコメントしているもので、後から携帯端末で読み直して、いつもミスに気付きます。お詫びします。
×「スタンリーの描きたい絵のパレット一色になろうと心がけた」
原文は、
○「スタンリーの描きたい絵のパレットの一色になろうと心がけた」
従って、Peter Gabrielも、きっと、
○「Robert Frippの描きたい絵のパレットの一色になろうと心がけた」
ということになりますです。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
ご紹介の”The Stanley Clarke Band and Hiromi”は未聴です。超おススメということなら聴かないわけにはいきません。
限られた時間の中で、氾濫している音楽をすべて聴き尽くすというのは不可能なわけですから、今後も今日のように違った視点、異なった観点で情報交換ができると嬉しいです。
>私の2月8日付コメントとしっかりシンクロしていて、我ながら、自分の感性の確かさ、筋の良さは、大したものだ
さすがでございます。一生ついていきます(笑)。
>Peter Gabrielも、きっと、
「Robert Frippの描きたい絵のパレットの一色になろうと心がけた」
「寅さんみたいに出会いと別れを繰り返し、人の気持ちに敏感になる。それがエネルギーになる。Peter Gabrielもつらいよ、です」かな?
座布団1枚!!(笑)

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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » Sacred Songs

[…] 僕の世代では、Daryl HallというとHall & Oates時代の”Maneater”などが最初に思い浮かぶという人が多いかも。そういう僕自身もこのアルバムをまともに聴いたのはだいぶ後になってのこと。Frippの”Exposure”、Peter Gabrielのセカンドと合わせて3部作とされている”Sacred Songs”だが、じっくり聴いてみると実に素晴らしい。さすがに音の作りはGabrielの2枚目と酷似しているが、音楽的センスを含めた作品そのものの出来は、実にDarylの方に軍配が上がる(と僕は思う)。隠れた名盤であり名作。レーベルがリリースを渋ったお陰で録音から一般の耳に届くまでに2年以上の歳月を要したようだが、予想通り当時は(もちろん今も)一部のファンを除きほとんど売れなかった模様。 5曲目の”NYCNY”なんてKing Crimson風のイントロからしていかにもだし、6曲目”The Farther Away I Am”は涙が出るほど美しい。Daryl Hallの天才を感じる。 […]

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