プレヴィンのジャズ・ピアノ

shelly_manne_his_friends_my_fair_lady.jpgジョージ・バーナード・ショーの著作に「ピグマリオン」という戯曲がある。ギリシャ神話に登場する王ピュグマリオーンの逸話を題材にした創作劇。ピュグマリオーンの伝説もショーの戯曲に関しても残念ながら詳しくないので言及は避ける。ただし、簡単にいうと、現実の女性に失望した王が彫刻に生命を与え、それを妻に迎えるという話らしい。何だか今の時代のバーチャル恋愛に近い話。理想と現実のギャップに苦しみ悩む人は多いが、所詮バーチャルはバーチャル。現実的に地に足をつけて、「楽しむ」ことは人としてとても大事なこと。今日もセミナーを終え、つくづく思ったのだが、純粋に人と人がつながっていく様は感動的で必然的。誰もが一つになることを求めているのだからとにかく楽しもうじゃないか。

ところで、上記バーナード・ショーの戯曲を原作にしたミュージカル『マイ・フェア・レディ』。ブロードウェイでロングランとなったこの名作も初演から半世紀余り経過する。

Shelly Manne & His Friends:My Fair Lady

Shelly Manne(drums)
Andre Previn(piano)
Leroy Vinnegar(bass)

今やクラシック音楽界の大御所となっているアンドレ・プレヴィンも元はジャズ・ピアニストとしてそのキャリアをスタートしている。1956年に録音されたシェリー・マンがリーダーシップをとったこのアルバムは当時としては抜群の音質で21世紀の今聴いてみてもまったく遜色ないところが素晴らしい。このアルバムのアプローチに関してプレヴィンは次のように説明している。
「このアルバムで、シェリー、リロイ、そして私が試みたのは、ミュージカルで使われたほとんど全部のスコアを用いて自分たちの演奏を行うことだった。(中略)私たちはどの曲にも愛情を注ぎ、そのオリジナルの素晴らしいスコアに大きな敬意を払っている。しかも自分たちのやり方でその完璧なスコアを演奏することによって、ショーに私たちなりの感謝の気持ちも表してみた。」

音楽とは愛情を与えることであり、感謝の気持ちを表現することである。「人間力向上セミナー」の中でも随分お話させていただいたこととかぶる。感謝。

それにしても素晴らしい音楽だ。プレヴィンのピアノが良い・・・。

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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » またしても「真夏の夜の夢」

[…] メンデルスゾーン:劇付随音楽「真夏の夜の夢」作品61 リリアン・ワトソン(ソプラノ) デリア・ワリス(メゾソプラノ) フィンチリー児童音楽グループ アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団 プレヴィンの音楽性の幅広さが堪能できる、とっておきの1枚。シェリー・マンとの「マイ・フェア・レディ」なども最高にいかすプレヴィンらしい演奏を披露するが、指揮者としても超一流。ジャズができる人のクラシック音楽は、懐が実に深い。変幻自在の棒で、愛らしい楽曲を極めて美しく作り出すかと思えば、壮大な楽曲では豪快にかつ自由に歌い上げる。 […]

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