
エレーヌ・グリモーのアルバム「クレド」。
アルヴォ・ペルトの「クレド」を軸に、コリリアーノやベートーヴェン、バッハの作品が収録されている傑作。
J.S.バッハの前奏曲第1番ハ長調を主題に、音楽は縦横に宙を駆け巡る。
ペルトの祈りが時にバッハと同化し、しかし、その調和はすぐさま混沌と重なり合い、聴く者に天国と地獄の(ある意味)同質性を知らしめる。怒りも悲しみも、あるいは喜びも、本来は一つ。
いま一度この音楽を傾聴すればすべてが調和に向かうことを教えてくれる。
何よりエレーヌ・グリモーのプログラミングの巧みさよ。
どんな音調であろうと、アルヴォ・ペルトの音楽には静寂がある。
静けさにグリモーが感応するとき、音楽は歓喜に満ちる。
バッハの前奏曲第1番が流れたとき、音楽の持つ根源的エネルギーに思わず快哉を叫びたくなった。奇蹟である。
人類の目覚めるときがついに来たのだと思う。
もはや言葉は要らぬ。