朝から空気も軽く、とても気持ちの良い一日であった。仙台からHが上京するというので午後、Aとともに新宿東口のとあるビア・レストランで落ち合う。小1時間ほど語ったが、さすがに東北の気候・環境がいいのか、1ヶ月前に東京を離れるときよりも表情も明るくなり、仕事が忙しいとはいえ随分回復しているように思えた。
世の中の動きが激しい。問題が起こるべきところにそれが表面化し、物事が好転すべきところでは状況が一変するような出来事が起こる。すべては人間の念(つまり想い)が作り出したものである。「原因の結果」とはよくいったものだ。謙虚に、そして他者に喜んでいただくという姿勢で臨めば悪くなるはずがなかろう。
ドストエフスキーがその晩年に愛して止まなかった絵画にラファエロの「システィーナの聖母」がある。この作家は人一倍「信仰心」の厚い人間であった。家に仏壇や神棚を備付けるが如く、彼は自室にこの絵画を飾りつけていた。聖母を目前にし、毎日「祈り」を捧げていたのだろうか・・・。
信仰心と地に足のついた現実生活のバランスを保つことが重要だ。チベットの騒乱で中国側は「ダライ・ラマの陰謀だ」と明言した。かつてチベット自治区を旅した友人に聞いてみても、チベット人は温厚な性格で、暴動を起こすような国民ではないらしい。明らかに中国側の情報操作であろうが、ギョーザ事件といい、北京五輪を前に中国はどこまで堕ちていくのだろうか・・・。
リスト:巡礼の年第2年「イタリア」
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
第1曲「婚礼」は、ラファエロの「聖母の婚礼」にインスパイアされ作曲された、孤独に神に語りかけるように美しい名曲だ。ブレンデルというピアニストに関して僕はあまり熱心に聴いたことがない。きれいなピアノを弾くが個性の薄い優等生的な解釈がいまひとつピンとこないからだ。しかし、このリストはいい。清流のように透明で、不純物の一切感じられない様は、作曲者が明朗快活なイタリアに旅行しながらも、その地の芸術に刺激を受け思いに耽る様が描かれているように聴こえる。
なお、ブレンデルは本年末をもって引退を表明している。
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