ロストロポーヴィチ ヴィシネフスカヤ ランドフスキ指揮フランス国立管 ランドフスキ 「子どもは叫ぶ」(1982.5.9録音)ほか

今、僕は、静謐な音楽に憧れる。
浮かび、遊び、しかし、うねりのある音楽に心が動く。

作曲家の職業という問題をめぐって書かれた小さな本のなかで、わたしたちにつづく世代の大ぜいの音楽家の名をあげるのは問題にならないし、まして彼らの作品をこまかにふれるわけにはとてもゆかない。けれども、アンドレ・ジョリヴェの荒削りな苛烈さを指摘するのはわたしにもとても楽しいことです。それに彼には優しさだってなくはない。それから《Jean de la peur》《Le Rire de Nils Haverius》に示されているマルセル・ランドフスキーの劇的、交響的なりっぱな力量。デュリュフレの美しいレクィエムは公衆のそれと同時にすべての音楽家の賛同をかち得た。ガロワ=モンブラン、ルズュール、ボードリエも才能にみちた作曲家で、彼らの仕事を根底から心得ている。みごとな《詩篇》を作曲したジャン・リヴィエーはこのうえなく興味のある5つの交響曲を書いています。最後にわたしはジャン・フランセの精妙な芸術をひじょうに客観的におもしろく思ってます。彼の考えはわたし自身の考えとはひどく遠いものだけれども。そのほか、まだたくさん名をあげなくちゃならないでしょう!
アルチュール・オネゲル著/吉田秀和訳「わたしは作曲家である」(音楽の友社)P168-169

同時代の作曲家へのオネゲルの賛辞が素晴らしい。
これまでほとんど僕が無視し、避けてきた作曲家の名前が数多く示されているが、中でもマルセル・ランドフスキの音楽に潜む(企図された)情念が、わざとらしいにもかかわらず、どうにも美しい。

ランドフスキ:
・「子どもは呼ぶ」(詩:マリー・ノエル)(1982.5.9録音)
マルセル・ランドフスキ指揮フランス国立管弦楽団
・「刑務所」(テキスト:マルセル・ランドフスキ)(1983.12録音)
ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(ソプラノ)
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
マルセル・ランドフスキ指揮リール国立管弦楽団

ヴィシネフスカヤの無機質な声とロストロポーヴィチの官能的なチェロの饗宴。作曲者自身によるオーケストラ伴奏は極めて大人しい。ここはあくまで夫婦による見事な対話を立てるかのようだ。

マルセル・ランドフスキの音楽には温かみがある。世間の評価がどうであれ、彼の音楽には心を打つ(夜の)美しさがある。
少なくともこのアルバムにおけるロストロポーヴィチのチェロの功績は大きかろう。もちろんヴィシネフスカヤの歌もだ。

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