バーンスタイン指揮&ピアノ コロンビア響 モーツァルト ピアノ協奏曲第17番K.453ほか(1956.5録音)

レナード・バーンスタインのピアノ演奏は自由自在だ。まるで作曲家本人が弾いているかのようにニュアンス豊かで、センスに富む。

悲しいことに、他の多くの作曲家については叶いませんでしたが。たとえば、少なくとも一回はモーツァルトの前で指揮したかったですね! でも不平を言えた義理ではありません。何人かの現代の偉大な作曲家たちは、私が彼らの作品を指揮するのに耳を傾けてくれ、多くの敬意と愛着の気持ちを私に明らかにしてくれましたから。
バーンスタイン&カスティリオーネ著/西本晃二監訳/笠羽映子訳「バーンスタイン音楽を生きる」(青土社)P110

バーンスタインは真に謙虚な人だと思う。そして、芯から自信がある人だ。
それゆえに、彼の演奏はいつも明朗で心地良い。

モーツァルト:
・ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453(1956.5.4録音)
・ピアノ協奏曲第15番変ロ長調K.450(1956.5.7録音)
レナード・バーンスタイン指揮&ピアノ 
コロンビア交響楽団

録音のせいなのかどうなのか、ピアノが前面に出た浪漫豊かな弾き振りは、バーンスタインの真骨頂。指揮だけでなくピアノも、否、むしろ彼のピアノ演奏こそをモーツァルト本人に聴いてもらいたかったなどと僕は思う。
緩徐楽章の憂いに溢れる音、あるいは、終楽章の飛び切りの喜びの感情の爆発。人と音楽を愛するバーンスタインならではの、音楽を心から愛する男の、かけがえのないパフォーマンス。若きバーンスタインの勢いある、そしていとも容易く操るピアノ演奏の喜びに心が癒される。

いいえ、私が自分自身の先生でした。私はひとりで音楽を演奏し、それと戯れ始めたのです。自分で結構うまく働く和声的な音階システムをこしらえてね。それは、とりわけ、天上的な響きを私に聞かせてくれましたよ! それに、いったい私にどうできたでしょう? そのピアノは私の生活を変えつつありました。
~同上書P46

少年を虜にしたピアノ。バーンスタインにとってピアノは、音楽はなくてはならない、自分の身体と同じようなものだったに違いない。

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