Ella Fitzgerald Oscar Peterson “Ella and Oscar” (1975)

わずか100年と少しの時間の中で、ジャズは常に変化し、人々の心を揺れ動かし、そして魂にまで影響を与えて来た。永遠に残るであろう名盤は数多あるが、聴くたびに感動させてくれるのがエラ・フィッツジェラルドの歌だ。

以前、亡くなられたオーディオ評論家の江川三郎さんから譲り受けた何枚もの音盤の中に潜んでいた1枚が”Ella and Oscar”。歴史的共演ともいえるアルバムにおいて、エラは実にリラックスして歌を披露している。オスカーももちろん時折唸り声を上げながら歌のファースト・レディの伴奏を謳歌しているようだ。

75年にエラとオスカーが相次いで来日した時、エラのステージにオスカーが特別参加したことがある。それは2月だった。ひょっとすると、その時に共演アルバムの企画が生まれたのかもしれない。あるいは、すでに企画が立っていたので、ステージでの特別共演が行われたのかもしれない。
(青木啓)
VICJ-60097ライナーノーツ

きっかけは何にせよ、アルバムから立ち上るオーラの輝きは並大抵でない。

・Ella and Oscar(1975.5.19録音)

Personnel
Ella Fitzgerald (vocals)
Oscar Peterson (piano)
Ray Brown (bass)

聴いていると心がウキウキする。曲によって唱法がコントロールされ、各々の歌(音楽)から湧き上がる情感に惹き込まれるのだ。ジャズの美しさは、人と人との直接のふれあいからの発露だと思う。聴衆とのコミュニケーションもそうだが、何より演奏者が互いに丁々発止でぶつかり合うところに醍醐味がある。エラとオスカーの場合も、いかにも気軽なジャム・セッション的な印象を与えるけれど、果たして音楽の内なるテンションには凄まじいものがある。
何と言っても”There’s a Lulu in My Life”のようなバラードのあまりの美しさ。

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