アシュケナージ指揮チェコ・フィル R.シュトラウス 日本の皇紀二千六百年に寄せる祝典曲ほか(1998.1&2録音)

崩御年齢が127歳というのはともかくとして、神武天皇は神話上の人ではなく、実在した人であることは間違いない(根拠は伏せるが、確かにある)。

事の正否を云々するのはどちらでも良く、史実として語り継がれる以上、僕たち日本人がこの人を初代の天皇としてきちんと認識すればそれで良いだけなのだと僕は思う。建国から2682年。鹿児島の地でリヒャルト・シュトラウス作曲「日本の皇紀二千六百年に寄せる祝典曲」。

楽想は明らかに日本的なものとは無関係だ。
しかし、いかにもシュトラウスという壮麗かつ色香伴う旋律美に僕は心を動かされる。作品が正しく評価されるとかされないとか、魅力的だとか陳腐だとか中途半端だとか、そういう世間の評価はもはやどうでも良い。少なくともここには音楽をする喜びが横溢しているのだ。(シュトラウスの誠意の感じられない寄せ集め的な作品だといわれても)素敵な曲だと思う。

リヒャルト・シュトラウス:
・交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30
・交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
・日本の皇紀二千六百年に寄せる祝典曲作品84
ウラディーミル・アシュケナージ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(1998.1.16 & 2.21-23録音)

作品は5部構成になっており、各々のパートには副題が付されている。すなわち、第1部「海の情景」—第2部「桜祭り」—第3部「火山の噴火」—第4部「侍の突撃」—第5部「天皇賛歌」というもので、島国、サクラ、フジヤマ、サムライという絵に描いたような構成に苦笑したくなるほど。当時の欧州での日本のイメージとはそのようなものだったのだ(この標題がそもそも曲の評価を下げているのではないかと思うくらい)。

それにしてもアシュケナージの指揮は立派。オーケストラを存分に鳴らし、シュトラウスの色彩満ちる音楽を実に立体的に聴かせてくれる(何より戦後もほとんど演奏されたことのないこの作品を録音リストに入れたことが素晴らしい)。

人気ブログランキング


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む