
僕は結局音楽で常に描きたいことでいえば、人間の生きることへの愛とか、希望とか、祈りのようなもの、・・・そうですね、結局・・・愛。(笑)
(武満徹)
武満徹の音楽には「愛」が描かれる。
あの、ドビュッシー以上に浮遊感の強い、地に足が着かないようで、しかしぶれないがっちりした軸をもった音楽には、真に慈しみがあるように僕はずっと思っていた。それもそのはずだ。武満自身がそのように語っていたのだから。
武満は歌を愛した。中でもビートルズ。
彼が、ギターのために編曲した12曲の歌に4曲ものレノン=マッカートニー作品を選んでいることがその証だ。名曲”Yesterday”の得も言われぬ哀愁よ。哀しみのうちに見出せる希望と祈りこそ、武満が目指した音調だ。まさにこれは一本のギターでしか表現し得ない音楽だ。武満徹92回目の生誕日に。
[…] 曲版を創造した。センス満点の、例えばギター一本で、切ない、情感こもる、色香溢れる”Yesterday”が素晴らしい。それに触発され、ザ・ビートルズのアレンジ版をいろいろと漁る中で素 […]