リヒテル モーツァルト ピアノ・ソナタ第2番K.280ほか(1966.1Live)

昨日の夏のような好天の後の雨。
自然は容赦なく移ろう。地球は、宇宙はそうやってバランスをとっている。それは人智を超えたものだ。

アダージョ楽章の透明感に膝を打つ。
リヒテルのモーツァルトを聴いた。1966年のザルツブルクでのライヴ録音。何とも可憐なソナタたちが、実に哀しく、そしてまた大らかに高鳴る。ゆっくりと思念を込めて音を紡ぐリヒテルの様子が手に取るように見える。

モーツァルト:
・ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調K.280(189e)
・ピアノ・ソナタ第13番変ロ長調K.333(315c)
・ピアノ・ソナタ第5番ト長調K.283(189h)
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)(1966.1Live

リヒテルはどちらかというと賛否両論分かれる音楽家だが、モーツァルトなどは、実に自由かつ奔放で、神童の遊び心を如実に示した演奏を聴かせてくれ、人後に落ちないピアニストだと思う。それに、ついに西側での演奏を許可されたリヒテルの、中でも1960年代の演奏は、録音を聴く限りにおいても陰陽、光と翳の相反が濃厚で、いかにも美しい。
人間らしい情感を巧みに表現するリヒテルの業。
モーツァルトが素敵だ。

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