人が感動で流す涙は、それを見ている人の涙を誘う。人は誰でも自分自身素直な「感情」を出すまいと抑制しがちだ。特に男性は、子供の頃からの教育により一層自然に感情を表現できない人が多い。しかし、人とのコミュニケーション、それも「親和」といわれる深いコミュニケーションを一度経験すると、エネルギーが循環し、その魂は箍がはずれた如く今までに無い感動の坩堝と化す。こればかりはそれがたとえ仮想空間で起こったことであろうと自らが体感してみなくては決してわからない事実である。

「研修」が終了した。人が人により影響を受け、シンクロする、つまりつながるという状況をまた目の当たりにした。「性善説」とはよくいったものだ。人の持つ元々の「人間力」というものは誰もが桁外れの力を秘めている。ただ、気づいていないだけなのだ。または、使っていないのかもしれない。人と芯からふれあうことでそのスイッチが入る。そのことを「知る」だけで万金の値がある。

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲-リコーダー・トランスクリプション集-
フランス・ブリュッヘン(リコーダー)

35年も前、ブリュッヘン若き日の「縦笛」による無伴奏チェロの編曲盤。バッハの器楽曲は基本的にどれもが神懸かっているが、「無伴奏チェロ組曲」は中でも出色の出来で、前にも言及したが、宇宙生成の原点を垣間見るような趣を擁している。その天才の残した類稀なる楽曲を、こともあろうに「縦笛」用にアレンジしたブリュッヘンの裁量は、これまた神懸かっているといても言い過ぎではないかもしれない。とにかく「宙に浮く」ように音は軽い。しかし、風にたゆたう完璧な音色の様は、これがオリジナルではなかろうかと思うほどの真実性を帯びている。こうなったら第4番以降が録音されていないのが残念でならない。

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