モントゥー指揮ボストン響 ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911版)(1959.1録音)

初演者たる威光放たれるピエール・モントゥー屈指の名演奏。
さすがに作曲者自身(?)も、もちろんサロネンもモントゥーには敵わない(あくまで個人的な感想だけれど)。

ストラヴィンスキーの改訂癖は、ブルックナーのそれとはまた違う。
たぶんお金儲けの側面があったのだろう。

1946~47年に、《ペトルーシュカ》は楽器法の単純化やリズム標記の整理などを含めた、大幅な改訂を施されている(1947年版)。スコアの展望ははるかによくなったが、常套的な部分も多く、例えば作曲者と密接な交流のあった指揮者のアンセルメは、この改訂をけっして認めなかった。
「作曲家別名曲解説ライブラリー25 ストラヴィンスキー」(音楽之友社)P30

喧騒、リズムの饗宴、舞踊、人々の内なる野生を刺激する傑作にモントゥーは信念をもって対峙する。30分強の音楽は、どの瞬間を切り取っても生々しい(そして楽しい)。

・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911版)
バーナード・ジゲラ(ピアノ)
ピエール・モントゥー指揮ボストン交響楽団(1959.1.25-28録音)

悦び、喜び、歓び。仮の世界も真実の世界。
(個人的に)すべてが楽観の中にあることを教えてくれるストラヴィンスキーとモントゥーにシンパシーを覚える。

ある日、私は小躍りして喜んだ。
ペトルーシュカ! あらゆる縁日の、あらゆる国々の永遠の不幸なヒーロー! まさにそれだ、私は自分の作品の題名を見つけたのだった!
その後まもなく、ディアギレフが私に会うため当時私の住んでいたクラランにやって来た。彼の期待していた「祭典」のためのスケッチのくぁりに、私が作曲したばかりの楽曲を演奏して見せると彼はとてもびっくりした。その楽曲はその後「ペトルーシュカ」の第二場となったものだ。楽曲がたいそう気に入ったので、ディアギレフはもはやそれを手放そうとせず、操り人形の苦しみの主題を展開させ、それでバレエ全体を構成するよう私を説得し始めた。

イーゴリ・ストラヴィンスキー著/笠羽映子訳「私の人生の年代記―ストラヴィンスキー自伝」(未來社)P40-41

「ペトルーシュカ」は(ある意味)ディアギレフとの共作であり、生粋のバレエ音楽であったことは間違いない。しかし、モントゥーの演奏で聴く限り、一つの管弦楽組曲として聴いてもまったくそつがない。このたびの「ペトルーシュカ」詣での真骨頂だろうか。

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