フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲(1942.2.26Live)ほか

AI技術でカラー化されたフルトヴェングラーの映像。
これまで幾度も観てきたものが、カラーになるだけで驚くほどリアル感が増す。
ここにある活気、躍動、そういうものがはっきり目に見えるようだ。人間にとって視覚情報がどれほど大事か、つくづく思う。

ハーケンクロイツの下で「マイスタージンガー」前奏曲を、まるでとり憑かれたように指揮する有名な映像も、果たして巨匠が、戦時下、ナチス・ドイツで指揮していたその事実を強調するようであり、ワーグナーの音楽も一層先鋭化されたものに(気のせいか)感じてしまう。

シューベルトの「未完成」交響曲のリハーサルも、冒頭のほんの少しだけのものだが、仄暗い浪漫に微かな光が差すようで、実に美しい。

歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲は、ザルツブルク音楽祭での最晩年の巨匠の姿をとらえるが、どうやら録音に合わせて映像を後撮りしたもののようで、少々環境を削ぐのは事実。
(その事実を知る以前から妙に違和感があった映像だった)

フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」K.527(1954.10収録)

なるほど、くり返し何度も観たヒトラー生誕前夜祭における「第九」のフィナーレも熱気ある、驚くべき演奏として生まれ変わるようだ。

極めつけはブラームスの交響曲第4番終楽章パッサカリアの後半部。
前代未聞の(?)、うねるフルトヴェングラーの真骨頂たる超絶名演奏。フルトヴェングラーの遺産の中で随一のものだと個人的に思う。

今年も残すところ一日。
皆様、ありがとうございました。

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