
1960年のウィーン芸術週間は、マーラー生誕100年記念祭。そこに、ブルーノ・ワルターが老体に鞭打って最後の渡欧を敢行、楽友協会大ホールの指揮台に立ったのである。
(世間は一大事だ)

メインプロは、マーラーの交響曲第4番ト長調、独唱はエリーザベト・シュヴァルツコップだった。
この世紀の大イベントの記録が初めてリリースされたのは僕が高校生の頃だった。
当時、決して良いとは言えない音質のレコードで聴いたからか、正直あまりよくわからなかった。それゆえその後はほとんどこの録音を積極的に聴く機会を僕は持たなかった。しかし、今や放送局蔵出しの正規録音がリリースされ、比較的良好な音でこのコンサートを聴くことができる。

3度目の正直。今日三たび採り上げるのには理由がある。
・マーラー:交響曲第4番ト長から終楽章(リハーサル)
エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
ブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1960.5.29収録)
何と、極めて小断片ながらこのときのコンサートのリハーサル映像を、しかも終楽章の光景を観ることができるのだ(コンサートマスターはヴィリー・ボスコフスキー)。ブルーノ・ワルター83歳、そして、エリーザベト・シュヴァルツコップ44歳のときの記録。ワルターの想像以上の若々しさに僕は注目する。
欧州に出かけてもあちこち動くのは体力的に無理だとしながら、さすがにグスタフ・マーラーの十字軍たるブルーノ・ワルターの気合いは違うようだ。
生気を取り戻し、嬉々として音楽に奉仕する老巨匠の姿に感動だ。