オイストラフ バウアー ラヴェル ヴァイオリン・ソナタト長調M.77(1966.3&4録音)

あなた方、アメリカ人は、ジャズをあまりにも軽々しく扱っています。あなた方はそこに、ほとんど価値のない、通俗で、かりそめの音楽を読み取っているようです。他方、私の方では、まさにジャズこそが合衆国の国民音楽を生み出すだろうと思われるのです。あなた方は他の真の言語を未だ持っていません、あなた方の国の作曲家たちの大部分はアメリカの特徴というよりはむしろ、ヨーロッパの—スペイン、ロシア、フランスやドイツの—影響を露わにしています。それはアメリカを構成している様々な外国民族の混合に起因しているのだと主張する人々の言うことも私は信じません。断じてそのようなことはありません。そのような主張は馬鹿げています!
「ジャズを真面目に受けとめるべきです!」(1928年)
モーリス・ラヴェル/笠羽映子編訳「ラヴェル著述選集」(法政大学出版局)P163

ジャズに衝撃を受け、ジョージ・ガーシュウィンとも親交を持ったモーリス・ラヴェルの慧眼。それは、イーゴル・ストラヴィンスキーがジャズを聴いて腰を抜かしたというエピソードと一体だ。確かにジャズは素晴らしい。まさにジャズこそが、合衆国の国民音楽であることに違いはない。ラヴェルは続ける。

外国(米国人にとっての外国)で、私たちはジャズを真面目に受けとめています。それは私たちの創作活動に影響を及ぼしています。たとえば、私の《ソナタ》の〈ブルース〉は、様式化されたジャズで、恐らく性格的にはアメリカ風であるよりはフランス風でしょうが、それでも、あなた方のいわゆる「ポピュラー」音楽の影響を強く受けています。
~同上書P164

フランソワ クリュイタンス指揮パリ音楽院管 ラヴェル 左手のための協奏曲ほか(1959.6&7録音) Herbie Hancock “Gershwin’s World” (1998)を聴いて思ふ エレーヌ・グリモーのガーシュウィン&ラヴェル(1997.5録音)を聴いて思ふ エレーヌ・グリモーのガーシュウィン&ラヴェル(1997.5録音)を聴いて思ふ

ラヴェルのこの告白こそ欧州にてジャズが本格的に受容されるようになったきっかけになったのではないか。そして、確かに魅力的なヴァイオリン・ソナタの斬新な音色に人々は興味を持ったのではないか、そんなことを思った。

・ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタト長調M77(1923-24)(1966.3.28-4.1録音)
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
フリーダ・バウアー(ピアノ)

1世紀も前の音楽というのに、古びないその感性はモーリス・ラヴェルの満点のセンスによる。それに、オイストラフの縦横無尽のヴァイオリン演奏が輪をかけ、ジャズに影響を受けたという楽章を、ブルースを一層魅力的にする。

洒落た味わいの、確かにフランス風のジャズだけれど、決してローカルでない、インターナショナルな音調の音楽は、後世の僕たちの脳みそを刺激する。
自由闊達で、豊かな響きを醸すオイストラフのヴァイオリンに弥栄。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む