性的欲望

ヤナーチェクの歌劇「イェヌーファ」を抜粋で聴く。
サー・チャールズ・マッケラス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

音楽は地味で決して聴いて耳にすーっと入ってくるものではない。ましてや言語はチェコ語。
あらすじは、というと三面記事風の暗ーい内容。途中で聴くのをやめる。

レオシュ・ヤナーチェク。決して愛着のある作曲家ではない。ほとんど意識して聴いた時期はない。が、2004年生誕150年の多少の盛り上がり時に集中的に攻めてはみた。

中でも、弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」に関しては彼の作品の中でも唯一といっていいくらい刺激的な楽曲。特に、アルバン・ベルク四重奏団の演奏した音盤をよく聴いた。

この曲はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」をモチーフに書かれたものではなく、そのタイトル通りトルストイの同名小説にインスピレーションを得てその晩年69歳の時に作曲されたものである。
63歳の時、ヤナーチェクは当時25歳の運命の女性カミラ・シュテスロヴァー夫人と出会った。この出会いが彼の創作意欲に刺激を与え、以降亡くなるまで不滅の傑作群を残すことになる。

トルストイは晩年「性」をテーマにした作品を多く手掛け、「クロイツェル・ソナタ」はそれが最も端的に表された作品である。
トルストイはこの小説の中で、性に関するきわめてストイックな考えと、絶対的な純潔の理想を披瀝している。彼は「性的欲望」こそ人間の生活のさまざまな悪や不幸、悲劇の源であると考えていた。
フロイトのいう「リビドー=性的欲望」こそ人間のエネルギー、生命の根源なのだが・・・。
そういう彼も若い頃、相当放蕩三昧だった時期もあり、歓びも悲しみも体験しているのだという。その時のトラウマが背後にあるということだが・・・。
まぁ、じいさんになってからのトルストイの「思想」は賛否両論。言いたいことはわかるがちょっと行き過ぎかも、という感は否めない。

文庫本で150ページほどの短編なのでヤナーチェクをBGMにご一読を。

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