家路

「新世界」交響曲。
クラシック音楽入門の代表曲である。高校生のある時期夢中になって聴いていたのを思い出す。しかし、こういった通俗曲は最近は滅多に聴かない。そもそもドヴォルザークの音楽自体どうも歌謡曲っぽいところが苦手なのだ。「毒気の抜かれた」音楽とでもいうか、どうも健全過ぎる。彼の生涯をみてみても、若い頃は苦学したものの30歳過ぎてからは社会的にも認められ、ニューヨーク・ナショナル音楽院の院長にまでなっている。芸術を産む土壌には多少なりとも「負」が必要なのではないかと僕は考える。

イシュトヴァン・ケルテス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1892年、ドヴォルザークはアメリカに渡る。
2年間のアメリカ生活は彼の創作に大きな影響を与え、この交響曲は「新世界」アメリカから故郷のボヘミアへのメッセージという意味が込められているという。

特に、第2楽章のテーマはあまりにも有名である。小学生の頃、帰宅時間になると学校のスピーカーから流れていたあの曲である。このメロディーをドヴォルザークの弟子の一人フィッシャーが歌曲にアレンジし、「家路」という題名で出版したところ、大流行したのである。

しかし、この楽章の魅力はむしろその中間部にある。弦のトレモロに支えられて木管がメロディーを出す。この「切々たる故郷への思慕」は切なく胸を打つ。

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