新たな息吹

昨日いいことを教えてもらった。
いつだったか阿部敏郎さんが「いまここ」というブログで書かれていたらしいのだが、今の自分と1秒前の自分とは全く関係がないのだと。一瞬意味がわからなかった。

数ヶ月前「アクティブブレインセミナー」なるものを受講したときも、小田先生が「記憶というものがあってこそ人間は自分というものを認識する」というようなことをおっしゃっていたのだが、そのことを思い出した。記憶というものが自分というものの蓄積をつなぎとめているものなのだとしたら、記憶という幻想を抜きにしたとき確かに過去の自分と今の自分とは関係がない。ならば、過去にくよくよしたり未来に不安を覚えたり、そんなことはまったく無意味であろう。もちろん過去に犯した過ちについてはきちんと反省し、そしてその後はきれいさっぱり今を全力で一生懸命に生きようと。泣きたいときには泣き、荒れたいときには荒れ、嬉しいときには素直に喜び、そうやって今を楽しもうと。

ドイツ発のIdentity Compassという「思考スタイルや人間関係スキル」を分析するプロファイラーの養成コースの第1日目終了。これが実に興味深い。個人のスタイルだけでなく職場での適材適所が実現可能で、かつチーム内で起こりうる問題が事前にキャッチできるという優れもの。やる気が沸々と湧いてきた。新しいことにチャレンジし、学習していくことで脳が刺激されて、若返ったような気分(笑)。

ともかくシンプルに、ということでヴィヴァルディ。DHMの50周年エディションBOXからの1枚を久しぶりに。

ヴィヴァルディ:チェロと通奏低音のための6つのソナタ
アンナ・ビルスマ(チェロ)
鈴木秀美(チェロ)
ジャック・オッホ(チェンバロ)

アントニオ・ヴィヴァルディ没後270年。若い頃、古楽器の響きというのがどうも苦手だった。何とも軽薄で深みに欠ける感じがしたのだが、年を経るにつれてその味わい深さに衝撃を受けるようになった。何よりバロック期のこういう名曲たちが現代に蘇り、新たな息吹を創造する、そんなような演奏に心を奪われるようになったのである。ちなみに、この音盤には作曲者最後の曲集である作品14から3曲が収録されているが、何とも自然体で簡明な旋律が悲しみを浄化するように浮き沈みし、それがいつの間にか喜びに転化するような趣がところどころに感じられ、夏の夜半に聴くに相応しい。

さて、明日もまた早起きして頑張ろう!


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。

ピリオド奏法派の演奏は、作曲当時の演奏様式への忠実度からいったらモダン楽器での演奏と五十歩百歩で、それをピリオド奏法派の人が認めさえすれば、ひとつの新しい魅力的な奏法なので、私は何の文句もいいません。

まあ、バロックでそれを実践していただくのはそれなりに結構ですが、モーツァルトやベートーヴェン以降のピリオド奏法での演奏は、間違った歴史認識に基づく欠陥奏法であることが露呈しているにもかかわらず、自分達の奏法がモダン奏法より歴史的に正しいと、彼らピリオド奏法派が主張するのが気に入りません。特にベートーヴェンでは、ヴァイオリン協奏曲とか、弦楽四重奏曲とか、ピアノソナタとか、ディアベリ変奏曲とか、誰が現在主流のピリオド奏法で聴きたいもんですか。言い換えれば、現在、誰がこれらの曲をピリオド奏法で納得させられるんですか? まず大いに、奏法の見直し、改善から必要なんではないですか?

ところで今年の夏、日本の南海上では台風とか熱低とか賑やかで心配です。

ということで、私は今夜、堂々と現代楽器によるモダン奏法「海の嵐」を聴くことにします。

ヴィヴァルディ:フルート協奏曲集『海の嵐』 
パユ(フルート)トネッティ指揮 オーストラリア室内管弦楽団
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3-%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E9%9B%86%E3%80%8C%E6%B5%B7%E3%81%AE%E5%B5%90%E3%80%8D-%E3%83%91%E3%83%A6-%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB/dp/B000E6G5OU/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1312462234&sr=1-1

ヴィヴァルディ:協奏曲集『和声と創意への試み』op.8より『海の嵐』(第5番)
イタリア合奏団
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3600493

鈴木秀美さん達のヴィヴァルディのピリオド奏法での演奏も最高なんでしょう、彼のバッハ演奏も深く清々しく素晴らしいから。でも、作曲当時の奏法とは似て非なる奏法で、それはモダン奏法と同一線上ということ・・・。

 ↑ この甚大な震災被害と放射能汚染の非常時に、なに「コップの中の嵐」やってるんだよ! 国会かよ! と、クラシックにあまり関心がない、もしくは、どちらかといえば関心がない、日本国民99パーセント以上の皆様による、真っ当なご意見を頂戴しました。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
ピリオドとモダンの問題については以前からこのブログ上でも議論してきましたが、今回のコメントについても同感です。

>堂々と現代楽器によるモダン奏法「海の嵐」を聴くことにします。

いいですねぇ!パユの方は未聴ですが、興味深いです。

>鈴木秀美さん達のヴィヴァルディのピリオド奏法での演奏も最高なんでしょう、彼のバッハ演奏も深く清々しく素晴らしいから。でも、作曲当時の奏法とは似て非なる奏法で、それはモダン奏法と同一線上ということ・・・。

しかしまぁ、この際どっちでもいいです。どっちもありです。
その時の気分の応じてで良いのだと思います。

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